コイン2枚を投げて「2枚とも表」になる確率は何%か?うっかり間違えがちな「確率」の基礎知識

コイン2枚を投げて「2枚とも表」になる確率は何%か?うっかり間違えがちな「確率」の基礎知識
(※写真はイメージです/PIXTA)

AIの発達は目覚ましく、今や「AIが人間の仕事を奪う」とさえいわれます。今後、AIの強みと弱みの両方を正しく理解し、AIとうまく付き合っていくためには、AIが判断の拠り所としている「数学」の素養が欠かせません。本記事では、大人向けオンライン個別指導塾を主宰する永野裕之氏が著書『文系でもわかるAI時代の数学』(祥伝社)より、今やビジネスに欠かせない「確率」の基本的な考え方をわかりやすく解説します。

確率のイロハ

私は常々「確率」ほど人々の生活に根ざした数学用語は他にはないと思っています。

 

・例1:「明日の降水確率は30%です」

・例2:「今度の契約が取れる確率は50%くらいだな……」

・例3:「帰りが遅くなると奥さんに口をきいてもらえなくなる確率が上がっちゃうよ」

 

しかし(だからこそ、なのかもしれませんが)、確率は非常に誤解や誤用を生みやすい概念でもあります。そもそも確率は原則として、何回も繰り返すことができて、1回1回の結果は偶然に左右されるけれども、全体としては数学的な法則が見て取れる現象についてのみ、考えます。

 

この意味において、「例2」と「例3」の「確率」の使い方は正しくありません。

 

ふつう、同じ会社との契約を「何回も繰り返す」ことはないでしょう。また、「帰りが遅くなると奥さんに口をきいてもらえない」というのはそこに因果関係が認められます(結果が偶然に左右されるとは言えません)から、やはり確率を語るのは適切とは言えないわけです。

 

よく雑誌の占い等で「今月、理想の彼に出会える確率は◯%!」なんて記述がありますが、あれも厳密には正しくありません。理想の彼に出会うのはふつう1回限りだからです。

2種類の確率

コインを投げるとき、表が出るか裏が出るかを前もって確実に知ることはできません。

 

しかし(特別な仕掛けがない限り)、表が出ることも裏が出ることも同程度に期待できることはわかります。このことを「1枚のコインを投げたときに表が出る確率は1/2(50%)」のように言います。

 

確率とは、ある事柄が起きることが期待される程度を表す数値です。ふつう、絶対に起こり得ない場合の確率は0(0%)、必ず起こる場合の確率は1(100%)とします。

 

確率には大きく分けて、数学的(先験的)確率と呼ばれるものと、統計的(経験的)確率と呼ばれるものがあります。

 

数学的(先験的)確率というのは、実際の経験や実験結果をもとにするのではなく、机上の計算によって「期待される程度」を数値化したものです。

 

一方、統計的(経験的)確率とは、実際に十分なサンプルの数のデータを取り、その中の特定のケースの割合を調べることで求められる確率のことを言います。

 

先ほど、1枚のコインを投げたときに表が出る確率を1/2としたのは、実験をしたわけではなく、計算によって出したので(と言うほどのものでもありませんが)数学的確率です。

 

これに対し、たとえばコインを実際に100回投げてみて、表になることが53回あったとすると「1枚のコインを投げたときに表が出る確率は53/100です」と言うこともできます。この場合の「53/100」は統計的確率です。

 

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文系でもわかるAI時代の数学

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