写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週はフィリピンの基幹産業であるIT-BPM(BPO)の動向と経済特区の動向についてレポートします。

フィリピンBPO、IT-BPMの動向

フィリピンのビジネスプロセスアウトソーシング(IT-BPM)業界は、銀行、金融サービス、ヘルスケアなどの主要なセグメントに牽引され、2022年、収益は10.3%増加しました。また、フルタイムの従業員数が8.4%増加して157万人になりました。この雇用と収益の増加は、銀行、金融サービスおよび保険セクター(BFSI)、ヘルスケア、小売、テクノロジー、通信の成長が起因します。

 

IBPAPは、2023年のフルタイム従業員数を少なくとも8%増の170万人に、収益を10%増の359億ドルにすることを目標としていると発表しています。また、同協会は、昨年、セブ、ダバオ、バコロド、パンパンガ、ラグナなどマニラ首都圏以外の地域で大幅な拡大があったとしています。

 

マニラ首都圏以外の場所で70,000を超える新しい雇用が創出され、前年比17%増。2022年末時点で、この分野の総従業員数の31%、486,000人のフルタイム従業員がマニラ首都圏以外で就労しています。

 

このセクターの好調な業績は、多くのIT-BPM企業が、財政的インセンティブを享受しながら在宅勤務の取り決めを継続するために、事業登録をフィリピン経済特区局(PEZA)から投資委員会(BOI)に移行したことも大きな要因です。同協会は、ロードマップ2028に取り組んでおり、250万人の雇用と590億ドルの売上を目指しています。

 

IBPAPが実施した調査によると、IT-BPM企業の83%が世界経済の減速の可能性にもかかわらず、今年も成長を遂げると予想しており、平均成長率は17%。アニメーション、ゲーム開発、コンタクトセンター、サイバーセキュリティー、フィンテック、ヘルスケア、インターネットサービスプロバイダー、ITソリューション、シェアードサービスからの投資が増えることが示されました。

 

一方で、多くの企業が、人材とスキルのギャップ、コストプレッシャーに直面しているとしています。また、インド、ポーランド、南米諸国との競争も激化。その他の課題には、変化する顧客のニーズやビジネスモデルへの適応、地方における関連インフラの不十分な供給などがあります。

 

これらの課題に対処するため、IBPAPは4月26日から27日にIT-BPMタレントサミットを開催します。このイベントは、フィリピンの基幹産業であるIT-BPM産業が、スキルアップフレームワークを確立し、教育改革を加速し、110万人の新しい雇用を創出する支援をすることを目的としています。

 

サミットは、IBPAPが産業貿易省および投資委員会と協力して主催。IBPAPには300を超える会員企業と、Animation Council,Inc.、GlobalIn-House Center Council Philippines、Contac tCenter Associationofthe Philippines、Game Developers Associationofthe Philippines、HealthcareInformation Management Associationofthe Philippines、フィリピンソフトウェア産業協会など業界団体で構成されています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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