思い切って「ものを持たない人」になった男性の実話
これは知人から聞いた、ある男性の実話です。
その男性は、広いワンルームにひとりで住んでいました。マンガ、DVD、釣り道具など、自分の趣味のものを数多く収集する癖があり、部屋は足の踏み場もないくらいに散らかっていたそうです。
当時、デザイン事務所で働いていた男性は、毎日深夜まで仕事をし、たまの休みにショップ巡りをしては買い物でストレスを発散していたといいます。貯金はまったくありませんでした。
しばらくして、体調を崩した男性はデザイン事務所を退職し、フリーのデザイナーとして自宅で仕事をするようになりました。それをきっかけに、苦労して集めたものを思い切って処分し、部屋はベッドと冷蔵庫、パソコンだけにしたそうです。
そして、あれほど執着していた数々のものをいざ手放してみても、困ることはなにもなかったとのことでした。
使わないのであれば、ガラクタも同然―。
すると、お金がどんどん貯まりはじめて、フリーランスという不安定な立場でも、以前よりもお金の心配が少なくなっていったのです。そのいちばんの理由は、自分が本当に欲しいものがわかって、無駄遣いしなくなったからです。
しかも、仕事に集中できる環境がきちんと構築されたことで、仕事の質やスピードが格段にアップし、仕事の依頼もどんどん増えていきました。
この話でなにより重要なのは、ものを捨てたことによって、ものを買い集めることで満たされていた心が整理され、自分にとってなにが本当に大切なことかがはっきりしたことにあります。必要最小限まで減らした道具で、仕事の合間に趣味の釣りを楽しむ余裕も生まれて、生活は満たされました。
浪費癖のある人は、浪費そのものよりも、その原因となっている自分の心と向き合うことで浪費癖を解消することができます。その方法として、思い切って「ものを持たない人」を目指してみるのもいいかもしれません。
飯村 久美
FP事務所 アイプランニング
ファイナンシャルプランナー