(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査は事業を営んでいる法人や何らかの所得を得ている個人を対象に行われる、税務署による調査です。調査対象は所得のある法人や個人であり、どのような会社やどのような人が税務調査の対象として選ばれるのかは誰にもわからないため、急に税務調査の通知を受けると不安になる方も多いでしょう。では、税務調査はどの時期に行われることが多く、また、毎年何件ほど実施されているのでしょうか? 税務調査を専門とする税理士法人松本が解説します。

税務調査が実施される「時期」はいつ?

確定申告書の提出期間は毎年2月16日から3月15日と決まっています。税務調査も実施される時期に決まりがあるのでしょうか?

 

■税務調査の実施時期は決まっていないが、「多く実施される時期」はある

税務調査の実施時期には、決まりがあるわけではありません。したがって、どの時期にも税務調査が入る可能性はあります。しかしながら、傾向としては確定申告が終わる4月~5月ごろ、国税局や税務署の人事異動が落ち着く7月~12月ごろに多く行われているようです。

 

■法人の場合は「決算期」に関係することも

法人の場合は、決算期の時期によって税務調査の時期も変わります。決算期を2月~5月に設定している法人の場合は、7月~12月、決算期を6月~1月に設定している法人の場合は1月~6月の間に税務調査が行われる傾向があります。日本の企業の多くは決算期を3月としているため、税務調査は7月~12月に実施されることが多くなっています。

「実施数」や「確率」はどれくらい?税務調査の実情

■実施数は「コロナ前の水準」に回復中。令和3年事務年度は前年比160%超

国税庁が発表した「令和3事務年度 法人税等の調査実績の概要」によると、法人を対象とした税務調査の実施数は、令和2事務年度は2万5,000件、令和3事務年度は4万1,000件となっており、前年比163.2%と増加傾向にあります。これは、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う影響で税務調査の実施件数が減少していたものの、徐々に税務調査も通常の調査件数に戻りつつあることを示しています。コロナウィルス流行前の令和元事務年度は7万6,000件であったことから、今後はコロナ禍前と同レベルの水準まで戻ると考えられています。

 

参照:「令和3年事務年度 法人税等の調査実績の概要」(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/hojin_chosa/pdf/01.pdf)

 

■税務調査の対象となる確率は?

税務調査の対象となる確率は、売上の規模やこれまでの確定申告の実績によっても異なりますが、法人の場合はおおむね3~5年に1回程度の頻度で税務調査が行われると考えられています。

 

ただし、毎年適正に確定申告を行っている法人の場合は10年以上も税務調査の対象とならないケースもあるため、税務調査の対象となる確率は決まってはいません。いずれにしろ、いつ税務調査の対象となっても問題ないように、日ごろから帳簿の管理などを適切に行っておくことが大切です。

 

■税務調査の流れとは

税務調査が行われるときには、事前通知がなされることが一般的です。事前通知では税務署から電話で連絡が入り、税務調査に入る旨の通知が行われます。事前通知があっても、その場ですぐに税務調査が開始されるわけではありません。税務調査を行うにあたって必要な書類があるため、必要書類の準備期間が設けられるのです。

 

事前通知の電話では、税務調査の実施日時をいつにするかについての相談が行われます。繁忙期であったり、業務上で都合の悪い日があれば、その日程を避けて調査実施日を調整してもらうことができます。税務調査当日には、調査官がオフィスや店舗などを訪問し、事業内容等についての質問がなされ、書類のチェックが行われます。税務調査は2日に渡って行われることが多く、場合によっては追加で資料の提出を求められる可能性もあります。

 

税務調査終了後、約1ヵ月後に税務署から調査結果の報告がなされます。調査の結果が問題なければそのまま終了となりますが、調査結果に問題があった場合には税務署の指摘を受け入れて修正申告をするか、指摘事項に納得できない場合は更生手続きを行うようになります。

税務調査の事前通知を受けたら税理士に相談を

前述したように、税務調査は多くの場合、税務署側の都合で調査日時が決定されるわけではありません。事前通知の連絡を受けた場合には、業務のスケジュールなどを鑑みて、事業者の都合に合わせて日時を調整してもらうことができるのです。

 

顧問税理士契約を結んでいる場合は、税理士のスケジュールを確認したうえで、税理士が立ち会える日程に調査日時を合わせてもらうとよいでしょう。もし、顧問税理士がいないようであれば、税務調査に対応できる税理士を探すことをおすすめします。

 

税務調査では、難しい専門用語も多用されます。調査官から難解な用語を使った質問をされた際、正しく理解できなかったばかりに適切ではない回答をしてしまう可能性もあり、不正を行っていると判断されてしまうケースもあります。税理士が立ち会えば、事前準備をしっかりと行い、税務調査で指摘されやすいポイントなどについてアドバイスを受けられます。また、税務調査当日に調査官から指摘を受けた場合にも事業者の立場から、正しい主張をしてもらうこともできるのです。

 

税務調査と聞くだけで、精神的に不安な気持ちを抱える経営者も少なくありません。税の専門家である税理士に税務調査の対応を依頼すれば、精神的な負担も軽くすることができ、調査もスムーズに終えることができるでしょう。

まとめ

税務調査が行われやすい時期は、4月から5月、7月から12月あたりです。税務調査の実施件数は、新型コロナウィルスの影響で一時は低下していましたが、また増加する傾向にあります。税務調査には、税理士の立ち合いが認められています。税務署から事前通知を受けた場合には、できるだけ早く税理士に立ち合いを依頼しましょう。

 

 

税理士法人松本

税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。
国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。
税務調査相談実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。

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    ※本記事は、税理士法人松本のブログより転載したものです。

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