岸田首相、大手電力5社の電気料金値上げ申請に「待った!」…発電コスト大幅アップでも政府が値上げにストップをかけざるを得ないワケ

岸田首相、大手電力5社の電気料金値上げ申請に「待った!」…発電コスト大幅アップでも政府が値上げにストップをかけざるを得ないワケ
(※画像はイメージです/PIXTA)

岸田首相は2023年2月24日、大手電力会社5社(東北、北陸、中国、四国、沖縄)が4月からの家庭向け電力の「規制料金」値上げを認可申請している件で、西村経済産業大臣に「厳格かつ丁寧な査定」を指示しました。これにより認可が5月以降になる見込みです。東京電力と北海道電力も6月からの値上げ申請を行っており、影響を受ける可能性があります。本記事では、その前提となる電気料金の認可制度について解説します。

背景に政府の負担軽減策

折から、政府は2023年1月から「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を行っています。これは、電力会社をはじめとする電気・都市ガスの小売事業者等に補助金を交付する代わりに、電気代・ガス代の小売価格の「値引き」をさせる制度です。

 

補助金の額は以下の通りです。

 

【電気代】

・低圧契約の家庭・企業等:1kWhあたり7円

・高圧契約の企業等:1kWhあたり3.5円

 

【都市ガス代】

・1,000万㎥未満の家庭・企業等1㎥あたり30円

 

この施策によって、標準的な世帯においては、2023年1月~9月の光熱費の負担が総額4.5万円程度軽減されるとしています。

 

ところが、大手電力会社各社が申請している「規制料金」の30%程度の値上げが認可され、電気料金が今よりもさらに上昇してしまえば、この施策の効果も半減することになりかねません。

 

岸田首相が認可申請について西村経産相に「厳格かつ丁寧な査定」を指示した背景にはこのことがあります。

 

ウクライナ危機は当分収束する気配がなく、また、円安の背景には日本の国力の相対的な低下という事情もあります。このことからすれば、電気料金が当分の間、高止まりする可能性があります。

 

自然エネルギー・再生エネルギーのさらなる開発や普及強化といったエネルギーの問題だけでなく、減税や賃上げ促進等の経済対策も含め、総合的な視野に立った対策が求められているといえます。

 

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