国の「少子化対策」「子育て支援」の概要
現状における国の「少子化対策」「子育て支援」は、以下のように、「給付によるもの」「税制上の優遇措置(所得控除)」「労働法制を通じた支援」の3つに大別されます。
【給付によるもの】
・出産育児一時金
・出産手当金
・出産・子育て応援給付金
・育児休業給付金
・児童手当
・高等学校等就学支援制度(授業料の実質無償化)
【税制上の優遇措置(所得控除)】
・扶養控除
・ひとり親控除
【労働法制を通じた支援】
・産前産後休業
・産後パパ育休
・育児休業
・両立支援等助成金(事業主への給付)
以下、それぞれについて概要を説明します。
タイプ1|給付によるもの
まず、給付によるものです。
◆出産育児一時金
「出産育児一時金」は、国民が全員加入する「健康保険」に基づき一時金を受け取ることができる制度です。
女性が出産したら、子ども1人につき原則として42万円を受け取ることができます。
2023年4月以降は50万円に増額されることが決まっています。
◆出産手当金
「出産手当金」は、サラリーマン・公務員が加入する「被用者保険」に基づき、産前・産後の休業を取得したときに給与の3分の2の額を受け取れる制度です。
◆出産・子育て応援給付金
「出産・子育て応援給付金」は、2023年1月1日から施行されている新しい給付の制度です。
誰でも、「妊娠届出時」と「出生届出時」にそれぞれ5万円相当、5万円相当の経済的支援(主にクーポン)を支給するというものです(合計10万円相当)。
なお、施行は2023年1月1日ですが、公平をはかるため、2022年4月以降に出産した人も対象となります。
◆育児休業給付金
「育児休業給付金」は、「出産手当金」と同様、サラリーマン・公務員が「育児休業」を取得した場合に、「雇用保険」から給与の3分の2の額を受け取れる制度です。
「育児休業」については後述します。
◆児童手当
「児童手当」は、中学校3年生以下の子どもを養育している人に対し、子ども1人あたり1ヵ月10,000円~15,000円を支給する制度です。
児童手当には「世帯主」の「所得」と「親族の数」を基準とする所得制限の制度があります。
「所得制限限度額」を超えると給付額は「特例給付」として一律5,000円となり、「所得制限上限額」を超えると受け取れなくなります。
しかし、「子育て支援という目的に所得制限はなじまない」「世帯ではなく世帯主の所得で判断するのは不合理」などの批判があり、現在、政府・与党において、所得制限を撤廃する方向で調整が行われています。