韓国の経済成長は、戦後から始まった
韓国の経済成長を示す「漢江(ハンガン)の奇跡」という言葉があります。これは、朝鮮戦争で壊滅的被害を被った韓国が急速に復興し、経済成長と民主化を達成させた現象を示す言葉。漢江とは、ソウルに流れている川のことです。
1960年代まで、韓国は世界最貧国の1つでした。隣国である北朝鮮よりも貧しかったと言われています。GDPベースで見ても、北朝鮮を追い抜いたのは1960年代後半でした。
戦後、韓国が成長した背景にあるのが、朴正煕大統領による経済政策。朴正煕大統領は「五か年計画」をつくり、外貨を積極的に獲得する方針を取ります。
キーになるのが、1955年に起きたベトナム戦争。アメリカとともに戦うことで、韓国にはアメリカのドル資金が大量に流入しました。
アメリカと良好な関係を築き、国内に米軍基地を置き、文化を受け入れ、援助を受けるなど韓国発展の裏に、アメリカの存在は大きいと考えられます。
また、日本も1960年代から日韓基本条約を契機として「円借款」(低い金利で長期に資金を貸付けること)と技術援助を行いました。
アメリカや日本など他国から提供された資金や技術を基に韓国企業は発展、サムスン、ヒュンダイ、LG、ロッテなどの巨大財閥に成長しました。同時に社会インフラの充実も図られ、1998年のアジア通貨危機に至るまで、極めて高い経済成長を遂げました。
韓国は、たった30年ほどで世界最貧国からオリンピックが開催される国にまで成長できたのです。
実は韓国も、1990年代末のアジア通貨危機で一時的な落ち込みを経験しました。しかし、その後はリーマン・ショックにも負けずに成長を継続。そして2021年7月には国連貿易開発会議が韓国の地位を発展途上国から変更する案を可決。韓国はついに先進国入りを果たしました。
【Nobby‘s point】アジア最先端の技術国はもはや韓国?
製品の品質が上がったことで、韓国製品を“見る目”は大きく変化しました。
1990年代までは日本のハイテク製品は世界最先端で、次々と革新的な商品を世に送り出していました。ただ、円安誘導が行われ始めると安売りで輸出を増やして利益を上げる構造に変化。
その間にサムスンをはじめとした韓国企業は技術開発に取り組んで、アジアの最先端国の座を手に入れるまでになりました。
成長著しい半導体や液晶パネルなどの分野で着実に利益を出し、その利益をさらに投資に回すという好循環ができあがっているのです。