「異次元の少子化対策」の概要
岸田首相は、2023年の年頭の記者会見において「異次元の少子化対策」を掲げました。こども関連予算も含め、少子化対策に関する予算を倍増する考えを以前から示しており、具体的に動き始めました。政府は新たな会議を立ち上げ、2023年3月末までに少子化対策のたたき台をまとめる方向です。
さらに、6月に策定される経済財政運営の指針(「骨太方針2023」)までに子ども予算倍増に向けた大枠を示す考えも表明しており、課題となっている財源についても4月以降に明示するとしています。
少子化対策のためには、国としての取り組みだけでなく、企業が従業員の子育てをサポートできる体制を整えていくことも重要です。ここでは企業による子育て支援の仕組みの代表格として「育休」について取りあげます。
そもそも「育休」とは?
そもそも育休とは、育児休業を省略した言葉です。育児休業とは法律で定められた、「子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業」を意味します。
仕事と子育ての両立を支援する目的で、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」において平成3年に制定されました。この法律は、時代の変化に合わせるように改正を繰り返しており、平成7年以降は日本国内のすべての事業所に育児休業制度の導入が義務化されています。
日本の育児休業の現状
日本における育児休業取得の現状を、3つの観点からみていきましょう。
1.男女による育児休業取得率の違い
育児休業の取得率は男女で差があるのが現状です。三菱UFJリサーチ&コンサルティング「平成27年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査」によると、平成24年から平成25年にかけての1年間の育休取得率は、正規雇用者、非正規雇用者ともに、女性の90%であることがわかりました。
一方で、男性の利用率は低い水準にあり、平成24年から25年までの1年間における男性の育休取得率は平均して4.85%でした。
2.育休取得率の変化
厚生労働省が発表した「令和3年度雇用均等基本調査」の結果によると、令和3年度の育休取得率は女性が85.1%、男性が13.97%でした。平成24年時点では女性が90%、男性が4.85%だった結果と比較して、女性の社会進出が進んだことや、男性が育児に参加するようになったなどの変化があったとわかります。
3.原則、子供が満1歳まで利用可能だが…
育児休業制度は、原則として子供が満1歳となる前の日まで利用できます。しかし保育所の空きがないなどを理由に、2歳になるまでの子供なら期間の延長が認められており、企業によっては会社独自の制度を導入し、2歳以上の子供を養育する家庭の場合でも育休を取れる場合があります。
「令和3年度雇用均等基本調査」では、育休制度のある企業のうち60.5%が「子供が2歳になるまで」取得が可能だと発表されており、「平成27年度仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査」によると、子供が1歳以上になっても育児休業を取得した人は83.6%でした。
その理由として多かったのは「保育所に入れない」「会社の制度で認められていた」というもので、待機児童問題、企業における育休制度の整備も重要な課題といえるでしょう。
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