(※写真はイメージです/PIXTA)

濱田佳代子氏、後藤英之氏、石黒仁氏の共著『リーダーのための動機づけ面接 実践編』より一部を抜粋・再編集し、「デジタル社会に必要な素養」および「デジタル社会を担う人材を育成するリーダーに必要な姿勢」についてみていきます。

人材を育成する「リーダーに必要な姿勢」

前段ではデジタル社会に必要な素養について、オードリー・タン氏の著書から紹介しました。ここでは、デジタル社会を担う人材を育成するリーダーに必要な姿勢について述べたいと思います。

 

①自律性、②相互理解、③共好(共有できる価値創造)を持つ人材を育成するには、当然育成するリーダーもこれらを保持している必要があります。

 

①自律性、②相互理解、③共好(共有できる価値創造)を満たすことができるリーダーシップ論として、筆者はサーバント・リーダーシップをあげたいと思います。サーバント・リーダーシップは、1970年にロバート・K・グリーンリーフが提唱しました。

 

グリーンリーフはAT&Tでマネジメント研究、開発、教育に長年従事しました。企業人として大半を過ごし同社を退職後、生涯にわたって組織を研究する中で「リーダーとしてのサーバント」というリーダー像を見出したのです。

 

グリーンリーフはヘルマン・ヘッセの『東方巡礼』から着想を得たとしています。この物語の要となる人物は、旅をする一団に同行するレーオというサーバント(召使)です。

 

レーオは持ち前の快活な性格で一行の支えになっていました。しかし突然レーオは姿を消しました。すると一行は混乱状態となり、旅は続行不能となってしまいました。

 

旅の一団のひとりである語り手は、何年か放浪したのちにレーオを見つけ、あの旅を主催した教団へ行くことになります。そこで彼は、レーオがその教団の指導的立場にあるリーダーであり、あの旅を企画した張本人であると知ることになるのです。

 

このサーバント(召使)でありリーダーであるレーオから、グリーンリーフが見出したサーバント・リーダーの定義は以下の通りです。

 

「サーバント・リーダーは、第一にサーバント(奉仕者)である。はじめに、奉仕したいという気持ちが自然に沸き起こる。次いで、意識的に行う選択によって、導きたいと強く望むようになる。(中略)しっかり奉仕できているかどうかを判断するには、次のように問うのがよい。

 

奉仕を受ける人たちが、人として成長しているか。奉仕を受けている間に、より健康的に、聡明に、自由に、自主的になり、自らもサーバントになる可能性が高まっているか」

 

サーバント・リーダーシップは、オードリー・タン氏があげる①自律性、②相互理解、③共好(共有できる価値創造)といった3つの素養を内包し、グローバリゼーション(世界の一体化)に貢献するリーダーシップ論といえるのではないかと思います。

次ページ「サーバント・リーダーの10の属性」

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『リーダーのための動機づけ面接 実践編』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

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