(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資の成功のカギは「収支計画」にあるといっても過言ではありません。収支計画のシミュレーションでは、購入物件の賃料や空室率の変化とともに、ローンの返済額が非常に重要なポイントとなります。本稿では、ローン返済額を左右する3つの融資条件について見ていきましょう。

ローン返済額を左右する「3つの融資条件」

ローンの返済額を左右するのは基本的に借入額、借入金利、返済期間の3つです。この3つの融資条件をいろいろ変えながら、最終的な損益やキャッシュフローがどのようになるのかを確認します。

 

また、融資条件は金融機関によっても違ってくるので、どの金融機関を選べばよいかを判断する材料にもなります。

①借入額

■「自分はどれくらいのリスクまでなら対応できるのか」という視点も重要

以前は物件の購入価格の全額まで借りられるフルローンもありましたが、今は基本的に不可能です。一定の自己資金を用意することが前提となります。

 

とはいえ、購入価格に対する借入額の割合が高ければその分、自己資金が少なくてすみます。逆にいえば、同じ自己資金で購入できる物件の範囲(価格帯)が広がることになります。

 

ただし、借入額が増えれば当然、毎月の返済額も増えます。毎月の返済額が増えると収益や手元に残るキャッシュが減り、場合によっては赤字になるかもしれません。

 

借入額については、たくさん借りられればいいと単純に考えるのではなく、自分はどれくらいのリスクまでなら対応できるのかという視点からも検討すべきです。

②借入金利

■「変動型」を利用する前提でシミュレーション

基本的に金利は低ければ低いほど有利です。同じ額を借り入れても利息の額が少なくなる分、毎月の返済額(元金と利息の合計)と返済総額が少なくなるからです。

 

例えば、3000万円を1%と3%で借りるケースを比較します(返済期間は25年)。金利が1%なら毎月返済額は約11万3000円、返済総額は約3392万円です。一方、金利が3%なら毎月返済額は約14万2000円、返済総額は約4268万円にもなります。

 

なお、ローンの金利には固定型と変動型があります。原則、固定型は最初から最後まで一定の金利が適用されるものです。それに対して変動型は年2回、適用金利を見直すものです。

 

収支計画の安定性という点からは固定型のほうが望ましいのですが、不動産投資で利用できるローンは多くが変動型です。また、一般には変動型より固定型のほうが通常、金利が高く設定されています。

 

収支計画では、変動型を利用する前提で将来(例えば5年後、10年後など)に金利が上がる条件でシミュレーションしておくことが重要です。

③返済期間

■「金利の低さ」を取るか、「返済期間の長さ」を取るか

借入額、金利と並んでローンの返済額を大きく左右するのが返済期間(借入期間)です。なぜなら、返済期間が短いと、毎月の返済額が増えることになり、収益や手元に残るキャッシュが減ってしまうからです。

 

例えば、先ほどと同じく3000万円を借りるケースで比較してみましょう(金利は年1%)。25年返済では毎月の返済額は約11万3000円でした。これが20年返済では毎月の返済額は約13万8000円、15年返済では約18万円、10年返済では約26万3000円にもなってしまいます。

 

先ほどの金利も大きな影響が出ますが、返済期間はそれ以上に重要だといえます。

 

なお、一般的に長い返済期間(借入期間)が選べる金融機関ほど適用金利が高い傾向があります。返済期間と金利はトレードオフの関係にあるのです。このあたりをどう判断するかが、金融機関を選ぶポイントになります。

 

 

會田 和宏

株式会社あおば不動産販売 代表取締役

 

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※本連載は、會田和宏氏の著書『勝てる! 不動産投資~投資初心者のための物件購入の基礎知識~』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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