「8,000万円」をタンス預金にしていた妻と長男
はじめに、タンス預金がどのように相続税申告に関わってくるのか、あるご家族の事例を用いてご紹介いたします。そのご家族は夫、妻、長男の三人家族で、2021年10月に夫が亡くなりました。
その夫には2011年10月時点で1億2,000万円の預金がありましたが、10年かけて妻と長男でATMからお金を引き出していたため、夫が亡くなった頃には8,000万円ものお金をタンス預金にしていました。夫の死後、預金4,000万円を相続財産として相続税申告を行い、基礎控除内のため相続税の課税対象とはなりませんでした。
ただし、税務署は過去10年間分の収入や個人の所有する財産を把握することができるため、税務調査で2011年にはあったはずの1億2,000万円の使い道を調査した結果、タンス預金の存在がばれてしまい、修正申告に加え追徴課税を支払うことになってしまいました。
この事例からわかるように、相続税を逃れるためにタンス預金を隠して申告をすると、本来負うことのなかったリスクが生じてしまうことがあります。万が一税務調査で隠し通すことができたとしても、その後お金が動いたことで税務署に調査される可能性もあるため、最初からタンス預金は隠し通すことはできないと考えるべきでしょう。
タンス預金とは?
金融機関に預けることなく自宅に保管しているまとまった現金を「タンス預金」といいます。現金の保管場所はタンスに限らず、引き出しや屋根裏部屋、金庫、仏壇、冷蔵庫などでも、それらはすべてタンス預金に入ります。
タンス預金はいつでも自由に現金が使えたり、相続発生時に口座が凍結された際でも現金の出費に困らなかったりというような様々なメリットがあります。2021年に日銀が公表した結果によりますと、個人の保有現金が100兆円を超えたという統計からわかるように、使い勝手の良さから多くの人が現金・タンス預金を保有されているといえます。
もちろんタンス預金自体は法的にまったく問題ないのですが、先ほどの事例のように相続税を減らすために悪質な隠し方をすると、大きなトラブルを招くことになります。
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