(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍の影響で、近年は大企業を中心に「録画面接」が増えています。録画面接、オンライン面接、対面面接ではどう対応すればいいのでしょうか。人事コンサルタントの曽和利光氏が著書『人材の適切な見極めと獲得を成功させる 採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

「録画面接」で面接官は何を聞きたいのか

■動画による面接はどう活用する?

 

コロナ禍の影響で、近年は大企業を中心に「録画面接」が増えています。これは、あらかじめ用意した質問事項を動画にして候補者側で視聴してもらい、それに対する回答を候補者も動画化・アップロードして採用側が視聴するという形式です。この「録画面接」に最適化されたITサービスも、次々と登場しています。

 

混同しやすいものに「オンライン面接」がありますが、こちらは単純に従来の対面式面接を、zoomなどのオンライン会議ツールを使ってリアルタイムで行うことをいいます。

 

この録画面接の特徴は、まず、「質問と回答が一回の往復しかできない」ということです。相手の発言内容によって臨機応変に掘り下げられる追加質問ができないのです。

 

これを回避するには「プレゼンテーション型と同じく、あらかじめ用意する質問の中に聞くべき要素をできるだけ多く、具体的に織り交ぜておき、聞きたいことが一回で完結するように注意しておくことが重要です。

 

例えば「エピソードはできるだけ具体的に語ってください」「経歴などはできるだけ固有名詞を使って説明してください」「結果だけでなく、そこに至るまでのプロセスを具体的に教えてください」「成功体験や成果だけでなく、苦労した点なども述べてください」といったことです。

 

逆に「学生時代に力を入れたことを説明してください」だけといった曖昧な質問では、相手の面接に対するリテラシーによって、必要のない情報の羅列に終わってしまう可能性があります。

 

こうなると、候補者を見極めることは難しくなってしまうので、「答えて欲しい情報」はきちんと明示しておきましょう。

 

先にデメリットを挙げましたが、この録画面接にはたくさんのメリットもあります。採用側にとっては、複数人で回覧することで評価の偏りを減らすことができますし、候補者には失礼かもしれませんが2倍速にして見ることで、採用側の時間コストを減らすことも可能です。

 

もちろん、面接会場の用意もいりませんし、面接担当者のスケジュールを組み立てる必要もなくなります。

 

候補者にとっても、他社の選考と面接がぶつかることもなくなりますし、面接会場に出向く手間も省けます。またこの録画面接の傾向を分析すると、候補者側の動画アップロード時刻は多くの場合、夜の11時頃です。この時間は大学の授業などと重なることもなく、静かな環境の中で候補者がリラックスして対応できる時間でもあるといえるのです。

 

ポイント
•録画面接には、評価の安定化や面接運営コストの削減という利点と、質問と回答が一往復しかできない欠点がある。
•上記の欠点を補うために、「聞きたい情報」は具体的に、あらかじめ質問の中に織り込んでおくべき。

 

曽和 利光

株式会社人材研究所 代表取締役社長

 

 

※本連載は、曽和利光氏の著書『採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

採用面接100の法則

採用面接100の法則

曽和 利光

日本能率協会マネジメントセンター

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