投資先が「世界中の株式」1本でよい3つの理由
でも、投資に充当できる余裕資金のない人にとっては、「毎月の積立投資」以外、考える必要はありません。そして、その投資先は「世界中の株式」一本で良いのです。
その理由は、以下の3つです。
1. ゼロから始める「積み立て投資」の場合、資産全体に占める投資資金の割合は小さい。
2. 毎月の積み立て投資は、「ドルコスト平均法」を活用することになり、リスクの分散効果がある。
3. 株式はリターンが大きく、資産形成に最適な投資先であり、世界中に幅広く投資することで世界の成長を取り込むことができる。
「ドルコスト平均法」についての詳細は「『100万円ほったらかし』→『20年で2.65倍』に!? 老後に勝ち組になるための『3つの基本原則』とは」をご覧ください。
世界中の株式に投資した場合の具体的な数字をお示ししましょう。
米国MSCI社が開発した、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」という指数があります。これは、日本を含む先進国23カ国と新興国24カ国の主要な株式、2800銘柄以上に投資した時の値動きを表す指数で、グローバルに投資する際の最も有名なベンチマークとなっています。
この指数の過去30年間の実績(円ベース・2022年11月時点)は、「年平均リターン8.1%、リスク17.8%」です。
「リスク」とは「危険」という意味ではなく「リターンがばらつくこと」を意味します。
[図表1]をご覧ください。
リターンは年によって違いますが、多くの場合、「8.1%」を中心に上振れした「25.9%」から下振れした「マイナス9.7%」の間に収まります。
ここでは、「8.1%を中心に、良い時も悪い時もある」ということをご理解いただければ結構です。
「モンテカルロ法」によるシミュレーション
具体的なシミュレーションをしてみましょう。
今後も過去と同じような実績が続く保証はありませんが、仮に毎月5万円の積み立て投資をして、過去の実績と同じリターンとリスクだったと仮定した場合、[図表2]のようになります。
これは、「モンテカルロ法」という手法で、5,000回のシミュレーションをした結果をまとめた表です。
10年後、15年後、20年後にいくらになっているかを数字で示しました。
5,000回のうち、上位10%(上から500番目)、上位30%(上から1,500番目)、平均値(上から2,500番目)、下位30%(上から3,500番目)、下位10%(上から4,500番目)の結果を抜き出しています。
いかがでしょうか。毎月5万円を粛々と積み立て投資をしていくだけで、たとえば65歳時点で平均的な成果だとすると1,500万円程度(投資元本は900万円)になることがわかります。
これだけでは2,000万円に届きませんが、投資に回していない預貯金を含めれば、ほぼ当初の目的・ゴールを達成できるのではないでしょうか。
また、あまり良くない結果、たとえば下位10%目の結果だったとしても、15年後には投資元本を上回っていることになります。