老後の不安とは、突き詰めていけば「お金の問題」に他なりません。長生きは喜ばしい反面、それだけ生活費がかかることも事実です。本連載では、資産形成のプロでありシニア・プライベートバンカーの濵島成士郎氏が、著書である『老後の不安がなくなる50歳からのお金の増やし方』(三笠書房)から、老後の資産形成を行うコツについて解説します。
現実的な投資金額の変化を想定したシミュレーション
実際には子どもの教育費や転勤等でお金が必要になったり、昇格により収入が増えたりして、毎月の投資金額を変更する場合もあると思います。
そこで、現時点から4年間は月3万円、その後増額して60歳までは月10万円、給料が減る可能性が高い60歳以降は月5万円に減額して積み立て投資をした場合のシミュレーションも紹介しましょう。
[図表3]を見てください。
65歳時点で2000万円前後の資産ができている可能性は十分ありそうですね。
このシミュレーションでは手数料や税金は考慮していませんが、iDeCoやつみたてNISA(6章で詳しく解説します)を活用すれば、最大月8万円以上も非課税での投資が可能です。
また、ぜひとも理解していただきたいことは、資産形成で重要なのは「お金」ではなく、「時間」だということです。
もう一度、前ページにある「毎月5万円積み立て投資した」場合の表をご覧ください。60歳時点の投資元本は600万円ですが、シミュレーションでは平均的な資産額でも833万円と、すでに233万円も利益が出ています。
「お金ができてから」ではなく、「すぐに、できる範囲で」積み立て投資を始めてください。
それが老後の資産形成に最も大切なことです。
このように、「50歳男性、投資経験なし、余裕資金なし」の人におすすめの資産形成プランは、「全世界株式に毎月積み立て投資する」です。
積み立てできる金額は人それぞれですが、可能な限り多いほうがいいです。
「今、できる範囲で」積み立て投資を始めたとして、必要な老後資金を作ることができれば、もう心配は要りませんね。
濵島 成士郎
株式会社WealthLead
代表取締役
株式会社WealthLead
代表取締役
シニア・プライベートバンカー
1965年神戸市生まれ、千葉県松戸市出身。小学2年生から國學院高校時代までは剣道、信州大学経済学部入学後は夏のバイク、冬のスキーに没頭。
1988年4月、新日本証券(現みずほ証券)入社。生まれ故郷の神戸支店を皮切りに営業店、本社営業企画部門と人事部門、グループ会社での金融プロフェッショナル教育に従事。横浜西口支店等、4店舗の支店長も務める。
2度の合併(2000年新光証券、2009年みずほ証券)はあれど、30年に渡る証券マン人生の大半を富裕層個人と中小企業の資産運用、M&A、IPOに携わる。
駆け出しの頃に飛び込みで開拓したお客さまが後年上場を果たし、そのカッコいい姿を見て「いずれ俺もああなりたい!」と起業を夢見るようになる。
2011年の東日本大震災を目の当たりにして、「やりたいことに挑戦しないまま死んだら絶対に後悔する!」と若いころからの夢である起業を決意。2017年12月末みずほ証券を退職、2018年3月、53歳の時に株式会社WealthLeadを創業。
全国で約270名(2022年9月現在)しかいない、日本証券アナリスト協会認定シニア・プライベートバンカー。YouTube『よくわかる資産運用チャンネル by WealthLead』の運営もしている。
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