「老後2,000万円問題」のウソ…高齢者1人を現役世代2.6人で支える時代でも「年金は減らない」といえるワケ

「老後2,000万円問題」のウソ…高齢者1人を現役世代2.6人で支える時代でも「年金は減らない」といえるワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の不安として挙げられることが多いのが「老後資金」の問題です。しかし、年金や退職金について、正確な金額を把握している人は少ないのではないでしょうか。本記事では、確定拠出年金アナリストで『役所や会社は教えてくれない! 定年と年金 3つの年金と退職金を最大限に受け取る方法』(ART NEXT刊)を監修した大江加代氏が、定年後に活かせる「老後資金」の知識について解説します。

少子高齢化が進んでも「年金は減らない」といえるワケ

たとえば1970年当時は、65歳以上1人に対して65歳未満が13.1人いました。これが2020年になると、65歳以上1人に対して65歳未満は2.6人と5分の1に。では、年金額はどうでしょう?

 

1970年に比べて5分の1に減るどころか、10倍以上に増えています。その理由は、70年代の物価上昇率が今とは比較にならないぐらい高かったため、年金支給額が物価とスライドして上昇したからです。

 

そして、年金受給者を支えているのは、その時点で働いて年金保険料を納めている人たち。年齢で切っても意味はなく、高齢期も働く人が増えてきたので、少子高齢化は年金にほとんど影響しませんでした。

 

[図表1]少子高齢化が進んでも年金額は増えている

 

また、「将来、年金が減る」といわれているときに持ち出されるのが「所得代替率」です。これは、年金を受け取り始めるときの年金額が現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどれくらいかを示すものです。

 

現在は約6割ですが、経済成長や平均寿命の伸長次第では、5割またはそれ以下になる可能性があるといわれています。しかし、現役世代の賃金は物価水準に合わせて上昇するため、割合が減ったとしても年金受給額は、それほど減らないというのが真相です。

定年後に働く理由は「生活のため」「老後資金不足」ではない

定年年齢は会社によって異なりますが、ほとんどが60歳です。年金がもらえる年齢は原則65歳からですから、「年金をもらうまでは働いて稼ごう」と考える人が多いでしょう。

 

2021年の労働力調査の結果によると、60~64歳は男性で82.7%、女性で60.6%の人が働いています。

 

では、65歳以降はどうでしょう? 65~69歳の就業率は男女合わせて50.3%です。年金がもらえる年齢になっても、2人に1人が働いているのです。さらに驚くべきことに、70~74歳でも、男性で41.1%、女性で25.1%が働いています。

 

この数字を見て、「なんだ、結局一生働くのか……」とぼやく人もいるかもしれません。

 

しかし、高齢者が働くのは、生活苦や老後資金が足りないからではありません。

 

◆65歳以降は「働くことの意味」が大きく変わる!

内閣府の2021年の調査によると、65歳以上の68.5%が経済的な暮らし向きについて「心配がない」と回答しています。

 

では、なぜ働く人が増えているのでしょうか。

 

令和2年(2020年)版の「高齢社会白書」によると、60~64歳までは「収入がほしいから」という理由が過半数を占めています。

 

しかし、年金が受給できる65歳以降は、年齢が上がるにつれ「働くのは体によいから」「老化を防ぐから」「仕事そのものがおもしろいから」「自分の知識、能力を活かせるから」と答える人が増加することがわかりました。

 

また、令和4年(2022年)版では、収入を伴う仕事をしている人のほうが、そうでない人より生きがいを「十分に感じている」という割合が多かったのです。

 

[図表2]生きがいを感じる程度について

 

 

大江 加代

株式会社オフィス・リベルタス

代表取締役

 

役所や会社は教えてくれない! 定年と年金 3つの年金と退職金を最大限に受け取る方法

役所や会社は教えてくれない! 定年と年金 3つの年金と退職金を最大限に受け取る方法

大江 加代

ART NEXT

「何歳まで働く?」「いつから年金をもらう?」 ――の正解が、この一冊にあります!! 日本人の実に9割が「老後不安」を抱えているといいます。 なかでもとりわけ、「年金」「老後資金」に関する不安が大きいようです。 …

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録