年金をもらい始めてからでも受給額を増やせる方法、教えます!
繰り下げ受給を選択するうえでポイントとなるのは、定年後から年金をもらい始める間の収入の確保です。定年後も長く働いたほうが収入も途切れず、繰り下げ受給はしやすくなるでしょう。企業年金や、自分で「iDeCo」や「NISA」等を活用して積み立てた「じぶん年金」があればなお安心です。
ただし、価値観やライフプランは人それぞれ違います。繰り下げせずに、従来どおり65歳から受け取るのもありです。
実は、繰り下げ受給をしないという人でも、年金を増やす方法はいくつかあります。
「年金はもらい始めたらもう増えない」と思うかもしれません。しかし、厚生年金に加入して働く人は、年金受給者になってからでも受給額を増やすことができるのです。
では、その方法を具体的に見ていきましょう。
◆70歳まで厚生年金に加入すると毎年年金が増える!
国民年金は、原則20歳から60歳まで、最大40年間しか加入できません。
しかし、厚生年金は70歳まで加入することができます。したがって、70歳まで会社勤めを続ければ、その分、厚生年金の報酬比例部分は増額します。
どれくらい増えるかは、その人がいくら稼ぐかによって異なりますが、たとえば年収200万円で10年働くと年額約10万円も年金が増えます(厚生労働省社会保険適用拡大特設サイト「増える報酬比例部分の年金額の目安」より)。
また、厚生年金の場合は、年金をもらい始めても加入することが可能です。しかも、2022年4月から始まった「在職定時改定」によって、65歳から70歳になるまでの間、毎年増額した年金を受け取ることができるようになりました。
これは、定年後に収入が減った人にとってもうれしい制度ではないでしょうか。
厚生年金の報酬比例部分は、文字どおり収入に比例して増えます。したがって、現役時代からがんばって仕事をし、収入を上げれば年金も増えるしくみです。
夫婦が共働きならば、どちらも厚生年金に加入し、収入をアップし、長く働くことで、収入額が増やせます。それは、シニアになっても同じです。
年金制度改正により、2022年10月から厚生年金の適用拡大が始まりました。これまでは常時501人以上を雇用する事業所が対象でしたが、常時100人を超える事業所まで要件が緩和されています。さらに2024年10月からは50人超の事業所に拡大されますので、厚生年金に加入できる人が大幅に増える見込みです。
厚生年金に加入するための労働者側の要件は次のとおりです。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 学生ではない
- 2ヵ月を超える雇用の見込みあり
- 月額賃金8・8万円以上
厚生年金適用事業所で働き、これらの条件すべてを満たしていれば、厚生年金を含む社会保険に加入できます。つまり、定年後にパート・アルバイトでのんびり働くという人も、要件を満たして厚生年金に加入すれば、少しずつ年金を増やせます。
むしろ、高齢期に働くときに気をつけなければいけないのは、「稼ぎすぎ」です。
実は、60歳以降に厚生年金に加入して働く場合、稼ぎすぎると年金がカットされるしくみがあるのです。