出社は30分前…時間厳守が美徳の日本人
■ネガティブな噂話をすると、ネガティブな人だと印象づけてしまう
自分の売りたいものをよく見せるために、競合品をネガティブに言うようなことは絶対に避けましょう。
それも、確かな証拠がないのに何となくそんな話がある、といったレベルならなおさらです。
オハイオ州立大学ニューアーク校の心理学者ジョン・スコウロンスキが噂話に関する実験を行っています。
役者が第三者について噂話をする様子のビデオを被験者に見せる実験です。
役者が「彼は動物嫌いなんだ。今日も買い物に行く途中で子犬を足蹴にしていたのを見た」と話す場面を実験の参加者に見てもらったところ、参加者の多くが噂話の話し手(役者)その人をイヤな人間だと感じたというものです。
誰かが第三者の噂話をしたとき、聞き手は無意識のうちに「話し手」を「第三者」に重ね合わせます。これを「自発的特徴変換」と言います。
つまり、あなたが
「あの商品は私がお勧めするこの商品よりも、機能が劣ると言われています」
といった話をすると、お客様は無意識のうちにあなたやあなたの商品をネガティブに感じるようになるかもしれません。
あいまいな噂話的な情報は、マイナス効果になりやすいのです。
これは逆を言えば、競合をポジティブに話すことで、あなたやあなたの商品もよく見られることになるということでもあります。
「弊社の競合品ではありますが、B社の商品は私たちも感心する機能を有しています。例えば、弊社よりも特にこの点では優れていると思います」
といってほめたたえ、そのあとで自社についてのセールスポイントを説明することであなたの話をポジティブに受け止めてもらえるようになります。
正直でニュートラルに話をする人ほど、信頼感を得やすいのです。
▶営業力を上げるコツ
競合相手をほめこそすれ、悪口は絶対に言わない
■メールの即レスが、ムダな失注を防ぐ
日本人は世界的に見ても時間に厳格だと言われますよね。これは、民族性に関係しているのかもしれません。
電車の発着時間の正確さは日本が世界に自慢できることの1つです。
同じように、「始業10分前出社」「会議5分前集合ルール」など、1分を大切にするビジネス習慣が至るところに見られます。
これに関連して、シチズン時計の調査(https://www.citizen.co.jp/research/index.html)で面白い結果が出ています。
それによると、出社時間は30分前、取引先との待ち合わせは10分前、会議の参加は5分前という人が最も多いということです。
営業は当然のこと、時間厳守が絶対のルールです。
「取引先との待ち合わせは10分前」を基準に遅刻しないことを肝に銘じることですが、日本人にとって「時間を守ること」は信頼感を得るうえで最も確実な方法です。
営業で遅刻しないことは誰もが気をつけることだと思いますが、意外にできていないことの1つが、クイックレスポンスです。
お客様からメールで連絡をいただき、返信したのが数時間後という話をよく聞きます。これで双方の要件が済ませられればいいのですが、時間に厳格な日本人の民族性を考えると、「即レス」の習慣を徹底しなければ、失注することになります。
私の知り合いにベンチャー企業十数社の顧問をしている人がいますが、その人にメールで連絡を入れると、基本的には数分で返信が来ます。
この速いレスポンスに小さな感動を覚えるとともに、その人自体に信頼感を覚えます。
メールの返信を10分後にもらっても「速いな」と思いますが、それが数分後に返ってくることで、「即レスの××さん」とその人の印象度がポジティブに強く残ります。
失注を避けるうえで、「即レス」は営業としての基本ルールです。
▶営業力を上げるコツ
お客様への返信は「即レス」をルールにする
酒井 とし夫
マーケティング・コンサルタント