歴史的な利上げのなか、「資金余剰」の金融市場
金融市場での謎はグローバルに潤沢な投資資金、流動性の存在である。歴史的利上げにもかかわらず潤沢な投資資金が新興国株式や米国の低格付けクレジット市場に流れ、リスクプレミアムは低下し始めている。
なにより4.5%まで短期金利が引き上げられたにもかかわらず、米国10年債利回りは3.5~3.7%前後まで低下している。これはCPIや名目経済成長率の半分であり、依然として緩和的水準にあるといえる。金融引き締めの効果を金余りがしり抜けにさせているともいえるのだ。
シカゴ連銀が計算している全米金融環境指数(National Financial Condition Index) は昨年4Q以降、大きく改善されてきている。まさにグリーンスパン元FRB議長が「謎(conundrum)」といった事態が再現されているかのようである。
この長期金利の低下を先行きの景気不安の予兆とする見方もあるが、よりリスクの高い新興国株式やジャンク債の値上がり、さらには米国銀行貸し出し増加や、世界景気との連動性が高い銅市況の上昇などと辻褄が合わない。
長期金利低下の原因は「景気悪化の前兆」ではない
1980年以降長期金利の低下が景気悪化の前兆ではなかったように、いまの長期金利の低下も別の要因によるものである可能性が考えられる。
それはなにかといえば、企業部門の生み出す価値が企業部門が必要とする投資より大きく、恒常的資金余剰が起こっていると考えられるのではないか。
その背景には資本生産性の恒常的上昇がある。設備、機械、知的資産などの価格が大きく低下し、設備などの再取得価格が低下し、必要な投資額が減少するということが起きている。
またGAFAMではリストラが進行しているが、そこではAI、ロボットによる労働力代替が起きており、大きな生産性上昇ゲインが、企業部門の金余りを引き起こしている可能性がある。
米国企業の大幅なフリーキャッシュフローの存在は、企業部門に潤沢な資金余剰が存在していることを示している。企業はその余剰資金の大半を自社株買いとして市場に還元している。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!