様々な要因によって世界的なインフレが起こり、将来の展望が正確に描けない昨今。自身の資産を守り、未来につなげていくためには、どのような行動を取ればいいのでしょうか。複眼経済塾の取締役・塾頭、エミン・ユルマズ氏が、著書『エブリシング・バブルの崩壊』(集英社)から、世界経済の展望と、日本経済に潜むチャンスについて解説します。
インフレに強い資産は株とゴールド
少なくともインフレには負けないだろうし、そのうえに年間3%くらいは配当が取れるからだ。
預金して何もしないよりは断然いい。いままで日本はデフレだったから預金するのは妥当な選択といえた。けれども、今後はインフレを常に意識しなければならなくなる。
半導体関連株も悪くはないのだが、これもサイクル的な要因から、いまはとても割高となっている。調整局面が訪れると大きく値下がりすると思われることから、いまは手出ししないほうが得策だ。
ハイパーインフレの可能性を感じるとき、われわれ庶民は何を持って対抗すればいいのだろうか。一つは、インフレに非常に強い資産である株である。指数で持ってもいいし、個別株で持ってもいいだろう。基本的に株はインフレヘッジにもなる。その銘柄(会社)が活動している限り、株は生き続けるからだ。
株の次にはゴールドではないか。ただし、ゴールドの場合は儲けもしないし、損もしないという性格を備えているのを自覚しなければならない。
エミン・ユルマズ
複眼経済塾取締役・塾頭
著者画像撮影 Rikimaru Hotta
エコノミスト
トルコ・イスタンブール出身。16歳で国際生物学オリンピックの世界チャンピオンに。1997年に日本に留学。1年後に東京大学理科一類に合格、2004年に東京大学工学部を卒業。2006年に同大学院新領域創成科学研究科を修了し生命工学修士を取得。2006年野村證券に入社。投資銀行部門、機関投資家営業部門に携わった。2024年にレディーバードキャピタル合同会社を設立し、代表を務める。現在各種メディアに出演しているほか、全国のセミナーに登壇。文筆活動、SNSにての発信を積極的に行っている。主な著書 に『コロナ後の世界経済』(集英社)、『エブリシング・バブルの崩壊』(集英社)、『世界インフレ時代の経済指標』(かんき出版)、『エミン流「会社四季報」最強の読み方』(東洋経済新報社)など 。
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