社歴の長い会社ほど、昭和の時代から続く伝票帳簿の書き方や、ハンコの押し方、領収書・請求書の綴じ方などを、自分が指導されたとおりに先輩が新人に引き継ぐのがしきたりになっています。
しかし、経理部門において本来引き継ぐべきなのは、旧式の事務のやり方ではなく、財務方針であり、経営数字の見方であり、不正を許さない姿勢です。仕事の変化に対する価値観は、人によって違います。
新しい道具を使ってキャリアアップできると喜ぶ人がいる一方で、仕事をコンピュータに奪われて悲しむ人がいます。あなたはどちらでしょうか?
たとえ新しい道具を手にしても、事務作業だけをしてきた人に次の日から管理業務はできません。道具を使って新しい仕事をするスキルが、身についていないからです。ですので、デジタル化を進める経理部門には、必ず経理社員の研修教育などのスキルアップの準備をセットでしてもらっています。
事務の仕事がなくなったときに、デジタル社会で社員が行き場を失わないためのリスキリングはとても重要です。
「優秀な経理人材にルーティン作業をさせる」ことの罪
「(株)経理がよくなる」は20年前に、経理部門を事務作業から解放することを目的に「経理合理化プロジェクト」を立ち上げて、経理部門の生産性向上に関する活動を続けています。優秀な経理人材にルーティン作業をさせておくことは、会社にとっても、日本社会にとっても損失だと考えているからです。
今回の電帳法とインボイス制度という法改正の中で、さまざまな新しいデジタル技術が拡充されて、本当の意味での経理の合理化が達成できる環境が揃ったといえます。このチャンスを生かして、経理社員は自分を縛ってきた法律から解放され、デジタル化という新しい道具を手に入れて、自らを事務作業から卒業させましょう。
貴社が経理DXに成功し、経理社員がキャリアアップするとともに、事業が成長発展することを心から祈念しています。