(※画像はイメージです/PIXTA)

経理事務員は2025〜2035年までに、99%がコンピュータに仕事を奪われると予測されています。それにも関わらず、最もDXが進んでいないと言われている分野が「経理」です。そのせいで、テレワーク・在宅勤務もできない状況です。経理のDXについて、税理士・児玉尚彦氏、上野一也氏が著書『改正電子帳簿保存法とインボイス制度対策のための経理DXのトリセツ 』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

慎重安全型は堅実で健全

最後のタイプが、「慎重安全型」です。経理社員がもっとも恐れる業務上のエラーやトラブルの多くは、システム変更時に発生します。

 

アナログからデジタルへ変更する場合、システムの改訂だけではなく、作業方式からチェックのやり方まで全体が変わります。そのため、変更時のエラーやトラブルを恐れて、デジタル化に慎重になるのはある意味当然でしょう。

 

したがって、デジタル化について注意深く調べている経理部門ほど、なかなか着手できずに、「情報収集中」または「調査検討中」という状況が長く続いています。慎重安全型の経理の今後の対応は、他社の動向を見ながら、十分な導入実績を確認して、問題がないことを検証できてからデジタル化に踏み切る考えのようです。

 

この慎重安全型のやり方は、進め方としてはとても堅実で健全だといえるでしょう。しかし、慎重になりすぎると、いつまでたってもデジタル化は進みません。状況を判断して計画的に進めるべきでしょう。

 

経理DXでは、最先端のシステムを導入する必要はありません。経理の仕事は差別化する仕事ではなく、標準化する仕事だからです。周囲とデジタル化のデータ形式やアクセス方法を合わせたほうが、運用管理がしやすくなります。利用している会社が多いシステムを導入したほうが、データの連動性が高まります。

 

経理DXへの取り組みと今後の対応

 

経理DXは待ったなし

以上のように、経理DXの取り組み状況は、現状維持型、他力本願型、慎重安全型のいずれかであることが多く、デジタル化に踏み切れていないのが実情です。しかし、いつまでもアナログ的な経理を続けているわけにはいかなくなってきているのが現実です。

 

働き方改革で残業せずに効率的に仕事をするように会社から要望されるなか、リモートワーク環境でテレワーク・在宅勤務ができるようにしなければなりません。

 

また、取引先からメール添付で請求書が送信されてくるようになり、得意先からは「見積書や請求書はペーパーレスでお願いします」と要求されることが増えています。経理DXの対応は、待ったなしのところまできているのです。

※ 本連載は、児玉尚彦氏、上野一也氏の著書『改正電子帳簿保存法とインボイス制度対策のための経理DXのトリセツ 』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

経理DXのトリセツ

経理DXのトリセツ

児玉 尚彦,上野 一也

日本能率協会マネジメントセンター

経理部門は「あらゆるビジネスの中で最もDXが遅れている」といわれています。では、その原因と対処法はどのようなものがあるのでしょうか。 取引先との契約書、請求書、注文書、領収書などの電子化、そのデータの保管方法やツ…

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