本記事のポイント
・日本電産の大幅下方修正は構造改革費用が要因
・景況感の改善で2022年までの状況反転が明確に
・思い込みを捨て去るとき
日本電産の業績下方修正を受け…
4‐12月期決算発表シーズンの先陣を切った日本電産(6594)が、今年度通期の利益がこれまで掲げていた予想額の半分以下となる大幅下方修正を発表した瞬間、僕は東京・大手町の日経CNBCのスタジオにいた。「昼エクスプレス」という生番組に出演中だった。キャスターの曽根さんから日本電産の決算速報にコメントを求められたが、詳しい中身はもちろんわからない。
僕は一言、「解せないですね」とコメントした。利益は大幅下方修正だが、売上高は逆に上方修正されていたからだ。つまり単なる事業環境の悪化による下方修正ではなく、このタイミングで大幅に費用を増加させる「なにか」が起きたことになる。あとで決算発表の会見を聞いて合点がいった。構造改革費用を一気に計上するというのである。そうであれば納得できる。
ただし、市場では警戒感が広がった。日本電産の業績下方修正はこれまで日本の製造業の業績の先行指標になってきた経緯があるからだ。アナリストのあいだでは、「世界経済が減速傾向を強めるなか、市場は来年度の業績下振れリスクを軽視している」との意見が飛び交った。しかし、「世界経済の減速」という固定観念にしばられてアップサイドのリスクを無視しているのはアナリストのほうではないか。
すでに先月開催されたダボス会議で国際通貨基金(IMF)のゴピナート筆頭副専務理事が示唆していたとおり、IMFは世界経済見通しで、今年の成長予測を1年ぶりに上方修正した。2023年の世界経済の成長率見通しを2.9%とし、2022年10月時点の予測から0.2ポイント引き上げた。2022年の3.4%成長から減速するものの、成長率は2023年に底打ちし、2024年には3.1%に加速すると予想した。
もちろんIMFの予想が絶対正しいわけではないが、納得的だ。そもそも景気後退に陥ると考えられていた理由は、インフレが収まらず世界の中央銀行による利上げが長期化するから、というものだった。その前提が崩れれば、景気後退シナリオの可能性が低下して当然だ。
覆される「インフレ⇒利上げ長期化⇒景気後退」の型
1ヵ月前からの米国のインフレ指標を振り返ろう。雇用統計で平均時給の伸びは鈍化。続いてCPI、PPIも前年比の伸びが低下。ミシガン消費者マインドでの期待インフレ率も低下。アトランタ連銀の賃金トラッカーも減速。PCEデフレータも予想どおり低下。そして今週発表された2022年10〜12月期の雇用コスト指数は前期比で1.0%の上昇となり伸びは7〜9月期の1.2%から鈍化し、市場予想の1.1%も下回った。
1年ぶりの低い伸びに落ち着いてきた。これを受けて米長期金利は大きく低下した。それがナスダックの大幅高をもたらした。
インフレの落ち着き自体が景況感を改善している。典型例は欧州だ。1月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比8.5%上昇。伸び率は3ヵ月連続で鈍化した。記録的な暖冬でガスの価格が大幅に下がっているのが効いている。インフレの落ち着きと歩調を合わせるかのように景況感が上向いている。1月のユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)は総合で前月比0.9ポイント上昇し、50.2と好不況の境である50を上回った。これでPMIは10月を底に3ヵ月連続の上昇だ。
インフレの緩和は家計を助け消費回復につながる。企業にとってはコスト高が軽減され業績改善が期待される。欧州に続いて中国でも景況感が改善している。1月の総合購買担当者景気指数(PMI)は52.9と、前月から10.3ポイントの大幅改善となった。4ヵ月ぶりに好調・不調の境目である50を上回った。
ナスダックはインフレの落ち着きで金利が下がり大幅高になった。やはりインフレのピークアウト期待で景況感が改善している欧州株も大幅高になっている。中国株も大きく買われている。悪くなったところから反発してきている。2022年までの状況が、反転していることは明確だ。これまで、さんざん刷り込まれてきた「インフレが収まらない⇒利上げ長期化⇒景気後退」というステレオ・タイプの思い込みを捨て去るときだろう。
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