(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、マネックス証券株式会社が2023年2月3日に公開したレポートを転載したものです。

大幅な業績下方修正を発表した企業の今後

決算発表に戻ろう。日本電産の業績下方修正要因は構造改革費用だ。売上高はむしろ上方修正しているので事業環境が悪化しているとは読み取れない。実際、日本電産に続いたファナック(6954)、信越化学(4063)などは上方修正してきている。

 

もう1社、大幅に下方修正した企業がある。住友化学(4005)だ。最終損益がゼロとなる見通しだと発表した。従来予想から1050億円の大幅下方修正だ。ただ、その理由が世界的な景気後退懸念で石油化学製品の出荷が減少するというものだ。しかし、今日のレポートで見たとおり、それは「懸念」であり、さらにいえば「杞憂」かもしれない。

 

いずれにせよ、住友化学の岩田圭一社長は会見で「スピードを上げて構造改革を進める」「不採算事業の撤退など新陳代謝を加速させ、市況に左右されにくい事業ポートフォリオをめざした再構築を進める」と述べた。日本電産の永守会長兼CEOは「創業から50年たち、小さな垢がたまってきた。これをきれいにする」と述べた。

 

奇しくも日本電産も住友化学も下方修正額は同じ1,050億円。両社は一気に構造改革を進めるという。ここで膿を出し切れば、悪材料出尽くしとなるだろう。どのみち、いまの業績下方修正は過去に引きずられているところが大きい。

 

たとえば日本電産や住友化学に比べれば小幅だが150億円の下方修正をした日東電工(6988)。新型コロナウイルス禍での巣ごもり需要の反動や中国の「ゼロコロナ」政策の影響で、高性能のスマートフォンやパソコンに使う偏光板などの光学材料の需要不振が下方修正の理由だが、【コロナの巣ごもり需要の反動】や【中国の「ゼロコロナ」政策の影響】などというのは、もはや過去のものだろう。

 

未来志向で前を向けば、業績も景気も足元がボトムではないだろうか。今回の決算もすべて締めてみれば、悪くない決算という評価になるだろう。そうなれば年度末にかけて日本株は上値を追っていくと考える。

 

 

広木 隆

マネックス証券株式会社

チーフ・ストラテジスト 執行役員

 

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