本記事のポイント
・金利が上がらない理由は日本経済の弱さ
・物価上昇率は来年度半ばにかけて、プラス幅を縮小
・株式市場も12月の日銀修正サプライズ前の水準近くに
「やりたい放題」の日銀だが…
僕は天邪鬼だから、みんなが寄ってたかって日銀を批判していると、逆に擁護したくなる。「判官びいき」とは、ちょっと違う。「判官びいき」は弱者への応援をいうのであり、日銀は弱者ではない。弱者どころか強大なパワーをもった存在である。
なにしろ市場の国債取引を枯渇させるほどの勢いで国債を買い取ってきたかと思えば、今度は資金供給の拡充策を決めた。「共通担保資金供給オペ」の仕組みを変えて、市場に低利で長期の資金を機動的に供給できるようにしたのだ。もう、なんでもあり、なりふり構わずやりたい放題という感じである。
もちろん、市場関係者からは批判が噴出している。しかし、僕にいわせれば、いまさらなにを、である。すでに10年間、「異次元」の金融緩和を続けてきた。国債市場の歪みや機能不全はいまに始まったものではない。
前からいっているとおり、YCC(イールドカーブ・コントロール)は撤廃してしまえばよい。それによって長期金利を市場の実勢に任せるべきだ。僕がそういうのは、「市場機能の健全化を図るべき」なんていう「きれいごと」の理屈からではない。実勢に任せたところで、どうせ、たいして上がらないからである。
「上がらぬ金利」の根底にある日本経済の“弱さ”
本当に日本の金利に上昇力があるなら、日銀がなにをしたって結局は市場の力が勝つ。それがそうなっていないのは、もともと日本の金利にそこまでの上昇力がないからだ。市場で決まる金利は経済を映す鏡である。少子高齢化が急速に進み、イノベーションも起きず、賃金も上がらないような国の長期金利はせいぜい上がっても1%程度までだろう。
「日本の政治(家)はダメだ!」と批判するひとがいる。しかし、民主主義の国ではそういう政治(家)を選んでいるのは国民である。政治(家)のダメさ加減はそっくり国民である我々がダメだからである。それと同じで、そもそも金利が上がらないのは、日銀が力ずくで抑え込んでいるからではない。日本経済の弱さが根底にある。
実質利子率はその国の潜在成長率と一致する(という理論がある)。それに期待インフレ率を足したものが名目の金利である。ここもと金利が上がってきたのは、この日本でも遅ればせながら物価が上がってきたからである。
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