写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、フィリピンおよび東南アジア主要国2023~2024年の経済成長予測についてレポートします。

2023年、フィリピンの経済成長は鈍化を予測

フィリピン経済は、堅調な最終四半期に支えられ、40年以上で最も急速な成長を遂げて2022年を終えました。一方で、世界的な景気減速と急激なインフレにより、2023年は経済成長が減速するという予想が多いようです。

 

フィリピンの2022年第4四半期のGDP成長率は7.2%となり、ロイターの調査で予測された6.5%を上回りました。結果、2022年通年でのGDP成長率は7.6%に達し、1976年以来の高成長を記録し、政府予想の6.5~7.5%をも上回りました。第4四半期の好調な成長は、パンデミック抑制の解除と完全な経済再開に基づく、強い内需、雇用の増加、そしてリベンジ消費によるものと考えられています。

 

また、フィリピン経済企画庁は、「中国の経済再開はフィリピン経済に恩恵をもたらす一方で、国民が高インフレに直面するなか、フィリピン人の購買力を保護し、食糧安全保障を確保することが政府の優先事項であり続ける」と述べています。

 

さらに、フィリピン政府は2023年の6.0〜7.0%の成長目標を堅持しています。当然、昨今の世界情勢からのリスクは依然としてあり、ウクライナ紛争に悩まされてさらに減速すること、インフレの上昇がさらなる金融政策の引き締めにつながる可能性もあります。

 

世界の他の地域と同様に、フィリピンも現在14年ぶりの高水準にある猛烈なインフレと戦っており、これを抑えなければ、成長の主要な原動力である国内消費を圧迫する可能性があります。政府のデータによると、個人消費の増加率は10月から12月にかけて3四半期連続で減速し、第3四半期の8.0%から7.0%に減速しました。

 

シンクタンク・キャピタル・エコノミクスはリポートの中で、高インフレと金融引き締めが国内支出に与える影響を挙げ、フィリピンにとって2023年は成長が鈍化し、5.5%のGDP成長を予想しています。

 

上昇したインフレに加えて、米国とフィリピンの間の金利差を維持する必要性により、フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas =BSP)は昨年、積極的な利上げに乗り出すことを余儀なくされました。

 

ロンドンで開催された経済ブリーフィングで、フィリピン中央銀行のメダラ総裁は、12月に8.1%に達したインフレ率を今年の目標である2%~4%に戻すために中央銀行が行動する用意があると繰り返しました。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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