(※画像はイメージです/PIXTA)

岸田首相は先月の国会での施政方針演説で「異次元の少子化対策」を宣言しました。しかし、前途は多難です。なかでも、「仕事と子育ての両立」ができる環境の整備は急務ですが、男性の育児休業取得率が13.97%しかない等の現状を克服するのは容易ではありません。本記事では、2022年4月から施行されている「育児休業法」の改正法の概要を振り返りながら、克服しなければならない課題を検証します。

育児休業法の改正の内容とは

2022年に厚生労働省が発表した最新のデータによると、2021年における女性の育児休業取得率が85.1%なのに対し、男性の育児休業取得率は13.97%にとどまっています(厚生労働省「令和3年(2021年)度雇用均等基本調査」)。

 

そんななかで行われた育児休業法の改正法は、2022年4月、2022年10月、2023年4月の3段階で施行されることになっています。

 

ポイントは以下の6つです(厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」参照)。

 

【2022年4月より施行】

・雇用環境の整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化

・非正規雇用の労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

 

【2022年10月より施行】

・産後パパ育休(出生時育児休業)の創設

・育児休業の分割取得が可能に

・1歳以降に育児休業を再取得する場合の開始日の柔軟化

 

【2023年4月より施行】

・育児休業取得状況の公表の義務化(従業員1,000人超の企業のみ)

 

以下、それぞれについて解説します。

1. 雇用環境の整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化(2022年4月より施行)

雇用主は、労働者が育児休業を取得しやすい環境を整備するために、以下のいずれかの措置を講じる義務を負うことになりました。

 

・研修の実施

・相談窓口の設置

・自社における育児休業・産後パパ育休の取得事例の収集・提供

・育児休業・産後パパ育休の制度があることと、取得促進に関する方針の周知

 

また、事業主は、労働者が本人または配偶者が妊娠・出産したことを申し出た場合、個別に以下の事項をすべて周知したうえで、休業の取得意向の確認を行う義務を負います。

 

1.育児休業・産後パパ育休(後述)に関する制度内容

2.育児休業・産後パパ育休を申し出る先

3.育児休業給付に関すること

4.労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

 

この「個別周知」と「意向確認」を行う際、取得を控えさせるよう誘導してはなりません。

2. 非正規雇用の労働者の育児休業取得要件の緩和(2022年4月より施行)

派遣労働者、パート、アルバイトといった非正規雇用の労働者について、育児休業の取得要件を緩和しました。

 

すなわち、従来は、派遣労働者、パート、アルバイトについては「引き続き雇用された期間が1年以上」という縛りが設けられていました。しかし、それが原則として撤廃されたのです。

 

子が1歳6ヵ月になるまでの間に「契約が満了することが明らか」な場合を除いて、基本的には育児休業を取得できるようになったのです。

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