「運用しましょ…?」退職金2,000万円超〈勝ち組・リタイア公務員〉の老後生活を狂わせた、銀行マンのひと言

「運用しましょ…?」退職金2,000万円超〈勝ち組・リタイア公務員〉の老後生活を狂わせた、銀行マンのひと言
(※画像はイメージです/PIXTA)

一般的な公務員の場合、定年退職金として受け取れる額は大体2000万円前後。それなりの給料をもらい続け、さらに高額な退職金まで…となれば、老後生活はゆとりあるものになりそうです。しかし、余裕があるからこそ、はまってしまう落とし穴も…。実情を見ていきます。

公務員、60歳定年退職者の平均退職金は…

長引く不況下、比較的安定している公務員という職業ですが、その安定感は定年退職金にもしっかり反映されています。

 

60歳定年退職者に限定した平均退職金をみていくと、最も高いのは「静岡県」の2,384.3万円。2番目が「愛知県」の2,313.8万円。以降、「東京都」「沖縄県」「山梨県」の順となります。最も定年退職金が安いのは「佐賀県」の1,934.5万円、その次が「福井県」が2,030.8万円。

 

以降「富山県」「北海道」「京都府」の順となります。とはいえ、都道府県の公務員の場合、定年退職金の額はだいたい2,000万円前後となるようです。

 

都道府県の公務員定年退職金「上位5・下位5」ランキング

 

1位「静岡県」23,843,000 円

2位「愛知県」23,138,000 円

3位「東京都」23,120,000 円

4位「沖縄県」22,811,000 円

5位「山梨県」22,743,000 円

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43位「京都府」20,640,000 円

44位「北海道」20,598,000 円

45位「富山県」20,588,000 円

46位「福井県」20,308,000 円

47位「佐賀県」19,345,000 円

 

出所:総務省『令和4年地方公務員給与実態調査結果等』

一方、中小企業の退職金の状況は?

一方、中小企業の退職金の状況はどうでしょうか。東京都産業労働局『中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)』によれば、「退職金制度」がある企業は71.5%で、そのうち「退職一時金のみ」が72.5%、「退職一時金と退職年金の併用」が22.7%、「退職年金のみ」が4.8%となっています。中小企業の約3割は退職金制度がありません。

 

同調査に提示された「モデル退職金」によれば、大卒の定年退職金は1,091.8万円で、月収(所定内給与)の22.8ヵ月分が支払われる計算に。高卒は994.0万円で、月収の23.2ヵ月分が支払われる計算です。

 

東京都の公務員の平均定年退職金は2,312.0万円ですから、単純比較はできませんが、数字上は公務員と中小企業の会社員で、定年時の退職金に約2倍の開きがあることになります。

ゆとりのはずが、老後破産の危機に!?

「2,000万円前後も退職金があるなんて、うらやましい…」

 

そんな声が聞こえてきそうですが、〈これを受け取って老後は安泰〉とはいいきれないのが、難しいところです。長引く不景気と超低金利、おまけにこのところの急激なインフレから、「預貯金のままにしていては、資産は目減りする」という警告が、あちこちから発信されています。

 

手堅い給料を得てきた公務員でも、定年退職金が「人生初めて手にする大金」という人も少なくないでしょう。

 

この大切な虎の子を、なんとかして守りたい、いや、うまく運用して少しでも増やしたい…と考えるのは人情というもの。しかし、定年退職のタイミングで、資産運用の知識を蓄えている人は多くありません。それなりの額の給料が振り込まれているなか、仕事や日々の生活で多忙に過ごしていれば、資産運用にまで気が回らなくても当然です。

 

そのような人が、つい頼ってしまうのが金融機関です。金融機関は口座を持つ顧客の個人情報をガッチリと把握しているため、退職金の振り込みを知ると「資産運用の相談に乗りますよ」などとやさしく声をかけてきます。資産運用の知識を持たない人が、資産運用の必要性を説かれれば、「では、相談してみようか」となるのはごく自然な流れでしょう。

 

しかし、それが曲者なのです。金融機関でおススメされる金融商品は、顧客にとってメリットになるというより、金融機関にとって利益率の高い商品であることが少なくありません。そのため、せっかく運用していても、高額な手数料が乗るなどして、増えないどころか、むしろ目減りしてしまうケースもあるのです。

 

「老後生活をどうしよう」と切羽詰まった立場にある人は、必死になって情報と向き合いますが、ゆとりがある人は、えてして受け身になりがちです。セールストークを鵜呑みにして金融商品を購入したり、保険に加入したりしたあとで、「あれ、お金が減っている!?」と気づいてしまう。そして、取り返そうとして焦り、あれこれ手と出し、さらに傷を広げてしまう…。

 

ゆとりがあるからこそ、やってしまいがちな「人任せ」。そんな「見通しの甘さ」の先にある、想定外の事態。そのような姿勢では大切な資産は守れないということを、重々知っておく必要があるといえるのです。

 

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