(写真はイメージです/PIXTA)

世界中の富裕層から“投資国”として人気の高いフィリピン。世界的にみて、コロナ禍からの回復に出遅れた感があるといわれていますが、どうなのでしょうか。今後のフィリピン経済の行方について、ニッセイ基礎研究所の斉藤 誠氏が解説します。

フィリピンの実質GDP成長率

2022年10~12月期の実質GDP成長率は前年同期比7.2%増*1(前期:同7.6%増)と低下したものの、市場予想*2(同6.6%増)を上回る結果となった(図表1)

 

なお、2022年通年の成長率は前年比7.6%増(2021年:同5.7%増)と上昇、政府の成長率予測の6.5%~7.5%を上回った。

 

10~12月期の実質GDPを需要項目別に見ると、消費と輸出が堅調に拡大した。

 

まず民間消費は前年同期比7.0%増と、前期の同8.0%増から低下したものの、堅調に推移した。民間消費の内訳を見ると、レストラン・ホテル(同24.7%増)と娯楽・文化(同15.2%増)、教育(同11.6%増)が二桁成長となったほか、家具・住宅設備(同9.8%増)や衣服・履物(同9.8%増)、交通(同8.1%)も高めの伸びとなった。一方、民間消費全体の約4割を占める食料・飲料(同3.8%増)や住宅・水道光熱(同4.3%増)、通信(同5.7%増)、保健(同5.6%増)は緩やかな伸びに止まった。

 

政府消費は同3.3%増(前期:同0.8%増)とやや持ち直した。

 

総固定資本形成は同6.3%増となり、前期の同9.9%増から低下した。建設投資が同8.4%増(前期:同11.2%増)、設備投資が同3.7%増(前期:同12.1%増)となり、それぞれ増勢が鈍化した。なお、設備投資の内訳を見ると、産業用機械(同16.3%減)が落ち込んだものの、全体の約半分を占める輸送用機器(同8.2%増)が堅調に拡大したほか、一般工業機械(同20.2%増)が大きく伸びた。

 

純輸出は実質GDP成長率への寄与度が+1.5%ポイントとなり、前期の▲2.9%ポイントからプラスに転じた。まず財・サービス輸出は同14.6%増(前期:同13.4%増)と大幅な増加が続いた。輸出の内訳を見ると、サービス輸出(同21.9%増)に続いて財貨輸出(同10.6%増)も二桁増となった。一方、財・サービス輸入は同5.9%増(前期:同17.8%増)と鈍化した。

 

供給項目別に見ると、引き続き第三次産業が好調だった(図表2)

 

【図表1】【図表2】
【図表1】【図表2】

 

まずGDPの約6割を占める第三次産業は同9.8%増となり、前期の同9.2%増に続いて高水準となった。宿泊・飲食業(同36.1%増)と運輸・倉庫業(同19.2%増)、専門・ビジネスサービス業(同10.0%増)が二桁成長となったほか、全体の約2割を占める卸売・小売(同8.7%増)や金融・保険業(同9.8%増)、不動産業(同7.4%増)も順調に拡大した。一方、行政・国防(同3.4%増)や教育(同5.2%増)、情報・通信業(同5.6%増)は比較的緩やかな伸びに止まった。

 

第二次産業は同4.8%増(前期:同5.8%増)となり、増勢が鈍化した。まず製造業は同4.2%増(前期:同3.8%増)と上昇したが、緩やかな伸びにとどまった。製造業の内訳をみると、主力のコンピュータ・電子機器(同1.9%増)が小幅ながらプラスの伸びに回復、また化学製品(同10.1%増)や一般機械(同12.4%増)、輸送用機器(同13.6%増)も好調だったが、電気機械(同0.3%減)と食品加工(同2.4%増)が低調、石油製品(同5.4%増)も鈍化した。また建設業(同6.3%増)と電気・ガス・水道(同5.6%増)は底堅さを保ったが、鉱業・採石業(同1.7%増)が前期の同10.0%増から大きく鈍化した。

 

第一次産業は前年同期比0.3%減(前期:同2.1%増)と小幅に減少した。コメ(同2.5%減)やトウモロコシ(同7.0%減)、マンゴー(同6.1%減)などの作物が減少したほか、漁業・養殖業(同3.0%減)が低迷した。一方、家畜(同3.1%増)はアフリカ豚熱の影響から順調回復し、家禽(同1.6%増)が小幅に増加した。

 

*1:2023年1月26日、フィリピン統計庁(PSA)が2022年10~12月期の国内総生産(GDP)統計を公表した。

*2:Bloomberg調査

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年1月27日に公開したレポートを転載したものです。

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