社会保障カットが噂される現状でも「医療保険不要論」は生きているか?
昨今、社会保障が削減されるおそれが叫ばれることがあります。記憶に新しいところでは2022年10月上旬の「高額医療負担制度廃止案」騒動があります。詳細は同年10月19日の記事「ツイッターで炎上『高額医療負担制度廃止』の真相…『高額療養費制度』との違いは?」をご覧いただくとして、これは、「高額療養費制度」が廃止されるという誤報がツイッターで拡散され、ちょっとした騒動になったものです。
幸いにというべきか完全な「誤報」でしたが、国が社会保障の削減を企図しているという見方は根強くあり、それを象徴するできごとだったといえます。
しかし、冷静に考えると、国は、現時点では、社会保障制度を維持する方向で動いています。すなわち、2022年10月には社会保険の対象者を拡大しました。いわゆる「106万円の壁」の範囲が拡大したということで話題になったので、覚えている方も多いと思います。
また、65歳以上の国民についても、一定以上の所得を得ている人については、自己負担額を引き上げる措置をとっています。これは、実質的公平の考え方に基づいて、できるだけ財源を確保しようとする現実的な政策といえなくもありません。
さらに、健康維持のための働きかけもしきりに行われています。国民が健康維持に努めれば、その分、医療費を抑えることができるからです。
しかも、その是非はさておき、所得税の優遇装置である「医療費控除」に新たに「セルフメディケーション税制」を加えたのも、可能な範囲で医療費を削減しようという考え方の現れです。
「電子カルテ」の導入等の「医療DX」も、経費削減の流れです。
つまり、国は現行の「国民皆保険」と「健康保険制度」を可能な限り維持しようとしていることがみてとれます。
さらに、わが国は曲がりなりにも民主主義国家であり、法治国家なので、現行の制度の根幹を改変するには、選挙等を通じた国民の同意が不可欠です。特に、高齢者を重要な支持層とし議員の高齢化も甚だしい現与党が、支持層から反発を受ける政策を露骨に推し進めることは考えにくいといえます。今後、高齢化が進んでいくのであればなおさらです。
そのことからすれば、「医療保険不要論」は今なお有効であるといえます。ただし、これはあくまでも一般論です。医療保険にはさまざまなバリエーションがあること、人によっておかれている状況が異なること等からすれば、全否定まではできません。医療保険以外の生命保険等についてはますますそうです。
たとえば、「ひろゆき」だの「両学長」だののインフルエンサーの、多分に誤解や偏見、ポジショントークも含む「個人の感想」を鵜呑みにして「保険はいらない」と安易に思い込むことは危険であるとさえいえます。
わが国における社会保障制度や、将来のライフプラン等を考慮し、社会保障制度や貯蓄ではカバーしきれないリスクの有無・程度を冷静に見極め、本当に必要な保険を選ぶことが重要であると言えます。
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