(※画像はイメージです/PIXTA)

「医療保険はいらない」…聞いたことがある人が多いと思います。しかし他方で、昨今囁かれるのが、高齢化にともなう社会保障費の財源不足により、将来の公的医療サービス等が縮小されるのではないか、ということです。そんななか、「医療保険はやっぱり必要では?」という意見も広がりを見せています。従来の「医療保険はいらない」という議論が今なお有効といえるか、本記事で解説します。

医療保険は何をカバーしているのか?

まず、前提として、医療保険の保障範囲を知っておく必要があります。

 

多くの人が加入している医療保険の基本的な保障内容は、以下の通りです。

 

【医療保険の基本的な保障内容】

・入院給付金:入院した場合に「1日●円」を受け取れる

・手術給付金:手術を受けた場合に「●万円」などのまとまったお金を受け取れる

 

従来、「医療保険はいらない」といわれてきた主要な論拠は以下のようなものです。

 

【医療保険不要論の主要な論拠】

・日本では、働けなくなった時に受けられる公的保障が充実している

・保険としてのコストパフォーマンスが悪い

 

第一に、日本では、働けなくなった時に受けられる公的保障が充実しているということです。

 

すなわち、まず、健康保険制度によって、基本的に医療費の自己負担額が「3割負担」ですみます。また、1ヵ月あたりの自己負担額の上限を定めた「高額療養費制度」があります。

 

たとえば、報酬月額が「27万円~51万5,000円未満」の場合、1ヵ月あたりの治療費が「150万円」(3割負担で45万円)だったとしても、高額療養費制度を利用すれば、9万円ちょっとで済みます。

 

また、サラリーマン・公務員には、働けなくなった場合に給与の約3分の2を最大1年6ヵ月間受け取れる「傷病手当金」の制度があります。

 

第二に、医療保険はコストパフォーマンスが悪いということです。

 

典型的な医療保険の保障内容は、上述した通り、「入院給付金」と「手術給付金」です。しかし、昨今は入院日数は減少傾向にあります。むしろ、リハビリや在宅療養、介護を受ける比重が高まっているといえます。

 

最近は、1日入院しただけでも高額な「一時金」を受け取れる医療保険が有力になりつつあります。また、がん、心疾患、脳血管疾患といった「三大疾病」で所定の状態になった場合にまとまった額の「一時金」を受け取れるものがあります。しかし、それを考慮しても、保険料は割高といわざるを得ません。

 

むしろ、入院か在宅療養かを問わず、病気やケガで働けなくなった時の生活費等をしっかりカバーする保険のほうが重要といえます。「所得補償保険」や「就業不能保険」です。

 

なお、三大疾病、特にがんについては治療が長期化する傾向があり、収入減少と治療費の負担のダブルパンチに見舞われる可能性があります。しかし、そうであれば、医療保険に加入しなくても、がんに特化した「がん保険」に加入すれば足りることになります。

 

医療保険よりもコストパフォーマンスが高い保険が他にあるということです。

 

ただし、以上は一般論です。たとえば、基本保障(入院・手術の保障)を最小限にして有益な特約を充実させるなど、組み方によっては有益なプランになるケースも、一部の保険会社・保険商品にはあるということも付言しておきます。

 

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