「次の30年」を見通し、NISA拡充で目指したいこと
結論を先取りすれば、筆者は、NISA拡充に際し、
1.積み立て投資なら、長期にパフォーマンス・超過収益が出ているアクティブ・ファンドを含める
2.もしも「インデックス・ファンドのみで積み立てる」なら、超長期に資産運用を止めないために、対面・アドバイザーによるサポートやコーチングが欠かせない
と考えています。
しかし、現実を見れば、上記2の、インデックス・ファンドのみで積み立てをしている投資家には、アドバイザーは就かないでしょう。
なぜなら、インデックス・ファンドは、資本市場に「タダ乗り」している分、低コストであり、しかも、インデックス・ファンドの実質リターンは今後、長期間低迷しても不思議ではないため、アドバイザーは、インフレ分くらいしか、顧問料を受け取れないためです。
いずれにせよ、過去10年のように「自分ひとりでできる」と決して思わないほうがよいと筆者は考えています。
まずは、「過去30年」をふりかえってみましょう。
過去30年における「資産価格の異例な上昇」米国株式のデータは、過去150年にわたってさかのぼることができます。ここでは、その150年を30年ずつ、5つの局面に区切って、それぞれどんな動きだったのかを見てみます。
[図表1]は、過去150年における、S&P500の「1株利益」の増加率(年率;物価調整後*)を示したものです。すると、1株利益は、大小ありますが、おおむね年率2%程度で増加してきたことがわかります。
次が問題ですが、[図表2]は、過去150年における、S&P500の「株価」のリターン(年率;物価調整後*)を示したものです。すると、「過去30年の株価上昇率は、年率6%におよんでおり、異例に高いリターンだった」ことがわかります。
いったんまとめれば、「過去30年の株価上昇率は、同じ30年間の1株利益の伸び率と比べると、不釣り合いに大きかった」ことが示されます。
この両者を結びつけるのは「バリュエーションの上昇」(=PER(株価収益率)の上昇)にほかなりません。
ちなみに、1株利益・株価ともに、物価調整後(実質ベース)で見ている理由は、「貨幣錯覚」に陥らないようにするためです。株価が10%上がっても、物価が20%上がっていれば、購買力は低下しているため、決して喜べる状態ではなく、むしろ悲観すべき状況です。