(写真はイメージです/PIXTA)

投資家が投資した資金がファンドを通じて融資先に貸し出され、その利息をもとに投資家に配当が支払われるソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)。つまり、ソーシャルレンディングの利回りが高ければ、多くの場合その分高い金利での融資が行われているということです。では、その融資先はどのような企業なのか、また、安心して投資できる先なのでしょうか。株式会社バンカーズが解説します。

ソーシャルレンディングで資金調達する主な借手は?

では、ソーシャルレンディングを通じて借り入れを検討する企業には、どのような先が多いのでしょうか?

 

国内にもさまざまなソーシャルレンディング(不特法を活用した不動産クラウドファンディングを含む)プラットフォームがあり、毎月のように多くのファンドが販売されて、融資が行われています。そのようなファンドを見てみると、主に次のような企業が利用していることが分かります。

 

不動産企業:不動産を仕入れて、開発し、販売するまでのつなぎ資金として利用

再生エネルギー企業:太陽光発電の施設などを開発し、販売するまでのつなぎ資金として利用

ファクタリング企業:売掛債権の仕入れ資金として利用

ノンバンク:融資事業で貸し出すための資金として利用

リース企業:リース事業の運転資金やリース資産の流動化として利用

一般企業:新規事業やプロジェクトのために、銀行借入や自己資金などとの組み合わせで利用

上場企業:自社のPRや自社商品の宣伝のために利用

海外企業:上記1~7の事業を海外で展開するために利用

 

日本は非常に金利の低い国なので、ノンバンクの金利でも世界的にみると低金利の部類に入ります。

 

また、ベンチャーキャピタルから調達を目指すことの多いスタートアップでも、事業の内容次第では、借入のほうが適切な資金調達手段である場合もあります。

 

事業成長のために、ソーシャルレンディングを積極的に活用するシーンがこれからますます増えると予想されているのです。

銀行をはじめとした「金融機関」を利用しないワケ

前述のとおり、銀行借入は資金需要のある企業にとって必ずしも使い勝手の良いものではありません。

 

最も低金利であることは間違いありませんが、審査基準が厳しく、審査期間も長いため、迅速な事業運営には向かない場合もあります。また、繰上げ返済などの場合に繰上げ返済手数料などを徴収されるなど、返済の柔軟性もない場合があります。

 

さらに、リーマンショックの頃、銀行の貸出姿勢が一斉に厳格化して資金調達に苦慮した苦い経験があるために、多様な資金調達手段を確保しておきたいというニーズもあるのです。

 

そして何よりも、ソーシャルレンディングは融資型クラウドファンディングともいわれ、個人投資家から自分達の事業を説明して資金を募るため、銀行借入にはない「個人投資家へのアピール」が可能であるため、資金調達とPRの両方を目的とするケースもあります。

 

このように銀行借入ではなくソーシャルレンディングを利用する企業の理由について、以下にまとめておきます。

 

■銀行との取引実績が短く銀行融資の審査対象外である

■直近決算が赤字のため銀行融資の審査対象外である

■ビジネスモデルが新しすぎて銀行では融資判断できない

■金額が少額のため銀行借入には向かない

■借入期間が短いため銀行借入には向かない

■ノンバンクや不動産会社のように業界として銀行から融資額に一定の上限が付けられている

■返済したい時にはすぐに返済したい

■多少コストが高くても機会損失を避けるために迅速な資金調達が必要

■銀行の営業区域外の担保のため銀行が評価してくれない

■特殊な担保条件である

■銀行取引はすでにあるが、資金調達先を多様化したい

■個人投資家からファンドを募集することによって、事業をアピールしたり、自社商品の販促につなげたい

 

このように、企業が銀行借入を利用せずソーシャルレンディングを利用する理由はさまざまですが、いずれにしても、「銀行から借りられない」=「貸し倒れリスクが高い」というわけではなさそうです。

 

たくさんの企業が、ソーシャルレンディングを「資金調達手段のひとつ」と位置付けて上手に利用して、事業に取り組んでいるのです。

 

次ページソーシャルレンディングの融資審査は甘い?

※本記事は、株式会社バンカーズ(Bankers)のコラム「Bankersノート」より抜粋・一部再編集したものです。

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