「これっぽっちじゃローン返済は無理…」マイホームが震災で被災したときの公的補償の少なさに愕然…阪神淡路大震災から28年…今もし大震災に見舞われたらいくら受け取れるか?

「これっぽっちじゃローン返済は無理…」マイホームが震災で被災したときの公的補償の少なさに愕然…阪神淡路大震災から28年…今もし大震災に見舞われたらいくら受け取れるか?
(※画像はイメージです/PIXTA)

1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災から28年が経過しました。その間にも大地震の被害が多数発生しており、日本全国、次にいつどこが大地震の被害に見舞われてもおかしくない状態です。もし持ち家が被災してもローンの支払は残ります。ところが、現状、公的補償は決して十分とはいえません。本記事では、住む家が大地震により損壊した場合に受けられる「公的補償」の内容と金額、自分でできる対策について解説します。

◆加算支援金

次に、住宅の再建・補修等の必要な処置の度合いに応じて、「加算支援金」を受け取ることができます。限度額は以下の通りです。

 

【全壊・大規模半壊】

・建築・購入:200万円(単身世帯は150万円)

・補修:100万円(単身世帯は75万円)

・賃貸(公営住宅以外):50万円(単身世帯は37.5万円)

 

【全壊・中規模半壊】

・建築・購入:100万円(単身世帯は75万円)

・補修:50万円(単身世帯は37.5万円)

・賃貸(公営住宅以外):25万円(単身世帯は18.25万円)

 

なお、これらに加え、地方公共団体によっては、独自の支援金等の制度を設けている場合がありますので、確認することをおすすめします。

住宅を「応急修理」する場合の公的補償

建物が「半壊」し(半壊または大規模半壊)、居室、台所、トイレ等の日常生活に必要最小限度の部分に応急修理が必要な場合、災害救助法に基づき、市町村の費用負担で応急的に修理をしてもらうことができます。費用は自治体から業者に直接支払われます。

 

限度額は2022年度の基準では以下の通りです。

 

【災害救助法に基づく公的費用負担の限度額】

・半壊・大規模半壊:65.5万円

・準半壊(損害割合10%以上20%未満):31.8万円

 

なお、応急仮設住宅に居住する場合は、利用することはできません。この制度はあくまでも、自宅に居住し続けることが前提だからです。

 

公的融資の制度Ⅰ:災害援護資金

災害によって負傷した場合や住居・家財に被害を受けた場合、「災害援護資金」の貸付を受けることができます。貸付原資は国が3分の2、都道府県・政令指定都市が3分の1を負担します。

 

住居の全半壊の場合の貸付限度額は、以下の通り、350万円です。

 

内閣府資料「災害援護資金の概要」より
災害援護資金の貸付限度額の内訳 内閣府資料「災害援護資金の概要」より

 

また、世帯人員に応じ、市町村民税における前年の所得を基準とする所得制限があります。

 

【災害援護資金の所得制限】

・世帯人員1人:220万円(住居滅失の場合は1,270万円)

・世帯人員2人:430万円(住居滅失の場合は1,270万円)

・世帯人員3人:620万円(住居滅失の場合は1,270万円)

・世帯人員4人:730万円(住居滅失の場合は1,270万円)

・世帯人員5人以上:730万円+30万円×(世帯人員-5人)(住居滅失の場合は1,270万円)

 

利率は年3%と高く設定されていますが、地方自治体の判断で条例によりこれより低い利率を設定することが認められています。また、無利子の「据置期間」(3年または5年(特別の場合))があります。

 

そうはいっても、利率の高さは問題です。毎日新聞の報道によれば、阪神大震災で被災した世帯への災害援護資金の貸し付けにおいて、貸付総額が約1,320億円のところ、死亡や生活困窮等を理由とする返済免除の総額がその約15%にあたる約198億円にのぼることが明らかになっています。

 

この背景には、阪神淡路大震災発生当時は上述した「給付制」の「被災者生活再建支援制度」がなく、生活再建のための資金を調達する手段が「貸与制」の「災害援護資金」しかなかったという事情が挙げられます。

 

しかし、それだけではなく、「年3%」という利子が被災者にとって大きな負担となっている可能性が考えられます。阪神淡路大震災が発生した1995年以降、日本においては長らく低金利・マイナス金利が続いてきました。そんななか、被災して生活を再建するのがやっとの人にとって、年3%の利子の負担は非常に重いといわざるをえません。

 

早急な政治的解決と、制度の改定が求められます。

 

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