(画像はイメージです/PIXTA)

亡くなった方が所有していた不動産、自動車は、相続人への名義変更の手続きが必要です。また預貯金も、解約ではなく名義変更とすることが可能です。しかし、名義変更に必要となる書類は多く、手続き自体もかなり煩雑です。具体的な手順について見ていきましょう。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

母所有の不動産、相続することになったが…

生徒:先日、私の母が他界しまして、母所有の自宅を私が相続することになりました。どのように手続きをおこなえばいいのでしょうか?

 

先生:不動産の名義変更ということですね。それには、相続登記が必要ですよ。建物と土地の所有権を、お母様からあなたに移転させるための登記です。早めに手続きをしたほうがいいですよ!

 

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【これを見れば丸分かり】相続財産の名義変更の方法や必要書類を徹底的に解説!

生徒:相続登記はどこでおこなうのでしょうか?

 

先生:不動産の登記は、法務局でおこないます。所有権を移転させる場合、通常は「所有権を渡す人」と「受け取る人」が共同で申請しなければいけないんだけれど、相続の場合は、所有権を渡す人はすでに亡くなっていますから、所有権を受け取る相続人が単独で申請することができるんですよ。

 

生徒:相続登記の必要書類を教えてください。

 

先生:遺言書があるかどうかで違ってきますが、遺言書はありましたか?

 

生徒:いいえ、ありませんでした。遺産分割協議をおこなう予定です。

 

先生:それなら、遺産分割協議書が必ず必要になりますね。相続人全員で実印を押すことになるので、全員の印鑑証明書も必要です。あと、どんな相続手続きでも必要になりますが、戸籍謄本と住民票ですね。被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と住民票の除票、そして、すべての相続人の戸籍謄本です。「法定相続情報証明制度」を使って、法務局で作ってもらった法定相続情報一覧図の写しがあれば、戸籍謄本の提出は不要になりますよ。住民票は相続登記しようとする不動産を相続する人だけで大丈夫です。相続関係説明図も作っておく必要がありますね。

 

生徒:不動産関係の書類も必要になりますか?

 

先生:不動産関係のものは、土地または建物の登記簿謄本と固定資産税評価証明書が必要ですね。

 

不動産の名義変更の必要書類

 

〈いずれか準備すべきもの〉

●遺言書ありなら…遺言書

●遺言書なしなら…遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書

 

〈必ず必要になるもの〉

●被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

●被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)

●すべての相続人の戸籍謄本

●不動産を相続する相続人の戸籍謄本

●土地または建物の登記簿謄本(登記事項証明書)

●固定資産評価証明書

●登記申請書

 

〈司法書士に依頼する場合に必要となるもの〉

●司法書士に委任する場合は委任状

 

生徒:たくさんありますね!

 

先生:相続登記が完了すると、登記完了証と、登記識別情報通知書がもらえますよ。

亡きの母の愛車、名義変更はどうすれば…?

生徒:もうひとつ教えてください。母は不動産だけでなく、自動車も持っていたんです。自動車も私が相続することになったのですが、どのような手続きをおこなえばよいでしょうか?

 

先生:こちらも不動産と同様に、名義変更が必要ですね。新たに所有者となる相続人の住所地を管轄する運輸支局で手続きしますが、自動車保管場所証明書を取得してから1ヵ月以内に手続きしなければいけないので注意が必要ですよ。廃車にするとしても、いったん相続による名義変更が必要になります。

 

生徒:手続きの必要書類を教えてください。

 

先生:必ず必要になるのが遺産分割協議書です。相続人全員で実印を押すことになるから、全員の印鑑証明書も必要ですよ。あとは戸籍謄本と住民票です。被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と住民票の除票、そして、すべての相続人の戸籍謄本です。

 

生徒:自動車関連の書類はなにが必要ですか?

 

先生:自動車検査証、保管場所証明書が必要です。あと、運輸支局のホームページから申請依頼書をダウンロードして記入しなければいけませんよ。

 

自動車の名義変更の必要書類

●自動車検査証

●相続人の自動車保管場所証明書

●申請依頼書

●手数料納付書(検査登録印紙を添付)

●自動車税申告書

●代理人に委任する場合は委任状

 

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資産運用にはリスク許容度に応じた我慢が必要!【第2話】

亡き母の預金口座、解約せずに名義変更する方法も

生徒:最後に、銀行預金口座の名義変更の手続きについて教えてください。

 

先生:銀行預金口座を継続して使うのなら、口座の名義変更をすることになります。使わないなら、預金口座を解約して預金を払戻してもいいでしょう。いずれにせよ、相続人が手続きをおこなわなければいけません。

 

生徒:銀行預金口座の名義変更に必要となる書類を教えていただけますか?

 

先生:金融機関によって多少は違いがありますが、遺産分割協議書はどこでも必要です。相続人全員で実印を押しますから、ここでも印鑑証明書が必要です。あと、ほかと同様に、戸籍謄本と住民票です。被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と住民票の除票、そして、すべての相続人の戸籍謄本です。通帳とキャッシュカードがあれば、それも提出する必要があります。

 

銀行預貯金口座の名義変更の必要書類

●遺産分割協議書

●被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

●すべての相続人の戸籍謄本

●すべての相続人の印鑑登録証

●相続手続依頼書

●被相続人の通帳、キャッシュカード

 

生徒:わかりました! ありがとうございました。

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

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