(※画像はイメージです/PIXTA)

2022年度の確定申告の時期が近づいてきました。2022年に新型コロナウイルスに感染しPCR検査を受けたり治療を受けたりした方は多数いますが、「医療費控除」はどのように適用されるのでしょうか。本記事は、2022年に新型コロナウイルスに感染した場合に支出した医療費について、医療費控除がどのように適用されるのか、解説します。

医療費控除とは

前提として、医療費控除とは、その年に支出した医療費が一定額を超えた場合、所得税・住民税の計算上、超過額について所得控除を受けられる制度です。

 

控除の上限は200万円です。また、「一定額」は「所得金額200万円」という基準によって画されており、以下の通りです。

 

・所得金額200万円以上の人:10万円

・所得金額200万円未満の人:所得金額×5%

 

また、公的医療保険制度や、民間の医療保険等の保険金でカバーされた額は対象外です。

医療費控除の対象となる医療費の範囲は以下の通りです。

 

・医師等による診療や治療のために支払った費用

・治療や療養に必要な医薬品の購入代金

 

対象は意外に広く、たとえば、通院や入院をするのにかかった交通費も「医師等による診療や治療のために支払った費用」に含まれます。

新型コロナウイルス感染症に関して医療費控除を受けられるものは?

新型コロナウイルスについては、感染症法上「2類」に分類されているため、治療費は原則として公費負担であり、原則として無料です。

 

ただし、なかには、自己負担しなければならない費用もあります。それらが医療費控除の対象となるか否か、以下、重要なものについて解説します。

入院費用

入院費用については、「医師等による診療や治療のために支払った費用」かどうかで決まります。

 

まず、自身の都合によって個室を希望した場合の「差額ベッド代」やテレビ利用料等は、診療・治療のため必要とはいえないので、医療費控除の対象になりません。

 

また、パジャマ・リネン代、アメニティ代、は、日常生活の一環として支出するものであり、診療・治療と直接関係ないといえ、医療費控除の対象とはなりません。

 

これに対し、入院中の食事については、食事も入院中の診療・治療の一環と考えられるため、原則として控除医療費控除の対象となります。ただし、外から出前を取ったりした場合は診療・治療と無関係であるため対象外です。

マスクの購入費用

マスクの購入費用は、「感染予防」のためのものであり、診療・治療のためのものではないため、医療費控除の対象となりません。

PCR検査の費用

PCR検査の費用については、医師等の判断でPCR検査を受けた場合と、自己判断でPCR検査を受けた場合とで異なります。

 

◆医師の診断の結果としてPCR検査を受けた場合

まず、医師の診断を受け、新型コロナウイルスに感染している疑いがあるとされてPCR検査を受けた場合は、医療費控除の対象となります。検査費用を診療や治療のために支払ったものといえるからです。

 

なお、公的医療保険の適用を受けるので、対象となるのは自己負担部分に限ります。

 

◆自己判断でPCR検査を受けた場合

では、医師の指示等によらず自己の判断でPCR検査を受けた場合はどうでしょうか。なお、多くの自治体において一定の範囲で無料PCR検査を受けることができるので、自己判断において自費でPCR検査を受けるケースというのは、相当限られています。しかし、無料PCR検査も一定の制限があるので、まったくありえないわけではありません。

 

自己判断でPCR検査を受けて費用を支出した場合は、原則として医療費控除の対象となりません。

 

ただし、自己判断でPCR検査を受けた結果、陽性判定が出て、それによって医師の診察・治療を受けた場合には、医療費控除の対象となります。

 

これは、医師の指示でPCR検査を受けた場合と比べ、たまたま順序が逆になったにすぎないからです。

次ページオンライン診療を受けた場合の費用

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録