たった2粒のあられの価格が10万円!?
この項の最後に「究極のパッケージ化」の例を紹介したい。
先ほど「チョコレートあられ」の事例をお伝えした京西陣菓匠宗禅が製造・販売している献上菓子「黄金亀」だ。
宗禅の社長の山本氏は、日本唯一の「上技物」のあられを作ることのできる職人であり、これまで順調に売上を増やしてきた。
そんな宗禅が発売したこの究極のあられの価格はなんと、「2粒で10万円」。先ほどの親指サイズのチョコレートあられの「1粒200円」も破格だが、「2粒10万円」となると、もう異次元だ。
この黄金亀というあられはカメの形をした大粒のあられで、なんと、金箔に包まれている。
まず、このカメの形のあられだが、一つ作るのに10日もかかる。これ自体がすごい技術なのだが、そうしてでき上がった1000個ものあられの中から究極の2粒を選ぶのだという。
そして、それに金箔を貼るのだが、これを作るために山本氏は金箔師のところに弟子入りし、金箔の技術を身に付けた。
さらに清水焼の器に、その亀の形をしたあられが1匹ずつ入れられている。そして手染めの友禅紙に包まれ、加賀塗の漆器に収められ、さらに西陣織の巾着の中へ。奈良の職人が作った桐箱の中に入れられ、縮緬(ちりめん)の風呂敷に包まれて提供される。これはまさに、日本文化、職人技術の粋を幾重にも重ねた、究極のパッケージ化だ。
最高級品とはいえ、実質的には「あられ2粒」。それがパッケージ化されることで、なんと10万円の価格が付くのである。
そんな価格であるにもかかわらず、発売以来、お祝いニーズなどとして重宝されている。海外からも引き合いが来るそうだ。
あなたの扱う商品も、パッケージ化によって価値を高めることができないか。ぜひ、考えてみてほしい。
小阪 裕司
オラクルひと・しくみ研究所
代表
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