「業務スーパー」が「食品ロス1%」「原価率50%」を実現できた理由とは

「業務スーパー」が「食品ロス1%」「原価率50%」を実現できた理由とは
(※写真はイメージです/PIXTA)

「業務スーパー」は、どこも真似できない商品のラインナップと驚くほどの低価格で注目を浴びており、物価高が深刻化するなか、小売業界における存在感をますます大きくしてきています。いったいどのような経営が行われているのでしょうか? 本連載では小売り・流通関係に精通しているジャーナリストの加藤鉱氏が、著書『非常識経営 業務スーパー大躍進のヒミツ』から、業務スーパーの型破りな経営戦略について解説します。

創業者の料理人という視点から生まれた商品への工夫

一般的な惣菜専門店は原価率が60~70%で食品ロス率が5~10%といわれる。ところが、沼田の指導により神戸物産の食品ロス率は1%しかなく、原価率も50%と飛び切り低い。つまり顧客に安く提供できるということである。また食品ロス率が低いということは、利益を確保しやすい。

 

神戸物産が2006年から展開する外食チェーン「神戸クック・ワールドビュッフェ」や業務スーパー店内で展開する惣菜店の「馳走菜(ちそうな)」においても、パーツアッセンブルの考えが生かされていると、本社経営企画部IR広報担当の花房篤史(はなふさあつし)課長は言う。

 

「工場である程度の下処理を行って、パーツに仕分けたものを店舗に納品する。店舗では必要な分だけを、簡単な調理でお客様に提供できます。

 

われわれは多彩なグループ工場を持っているので、それぞれの工場からノウハウを持ち寄って、活用しているのです。たとえばチキンカツをつくるときには、パン工場があるので、そこでパン粉のレシピと鶏肉加工工場の肉を掛け合わせてチキンカツをつくる。

 

定期的に工場責任者が集まって、互いの課題や問題点を話し合う会議が行われる。製造面、あるいは労災面などにおいて発生している問題を、それぞれの製造分野の目線で分析、解決、改善につなげる努力をしています。

 

これらは以前から取り組んでいたことですが、現在では自前の食品加工工場は25に達しており、これらを横断して意見交換ができることは、われわれの強みになっているし、他社では真似ができません」

 

業務スーパーの商品を詳しくチェックしてみると、やはり業者(プロ)を意識している点が垣間見(かいまみ)られる。

 

その一例は5食入りの冷凍うどん。他社では1食ずつ小分け包装しているのに対し、業務スーパーでは1つの袋に裸で入っている。これは飲食店の料理人が1個1個袋を開けるのは手間だからという発想からだ。

 

しかも冷凍うどんの形も細長くしてある。職人が使うタモにすっと入って湯搔(ゆが)きやすくなるよう設計されているのがわかる。使い勝手の良さというところに細かく気遣っているのだ。

 

業務スーパーが開発した多くの商品のベースに、創業者の料理人としての経験が息づいているように思える。

 

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非常識経営 業務スーパー大躍進のヒミツ

非常識経営 業務スーパー大躍進のヒミツ

加藤 鉱

ビジネス社

ロイヤリティがなんと破格の1%!? なぜこの値段? なぜ牛乳パックに羊羹? なぜ急拡大? 毎日が型破りな業務スーパーが大人気な理由 売上高3,408億円、営業利益236億円、8期連続の増収増益、(2020年10月期決算)! あ…

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