※画像はイメージです/PIXTA

2022年10月、円相場は1ドル=150円を突破し、32年ぶりの円安水準を更新。きたる物価高・円安・大増税時代には、円資産を持っているだけだと資産は熔けていくばかり……。いかにして資産を防衛し、運用していけばいいのか? 本連載は、世界最大の資産運用会社「ブラックロック」日本法人の最高投資責任者(CIO)を経験した河野眞一氏と、3,000人以上をコンサルティングしてきた外資系プライベートバンカー長谷川建一氏の共著書『世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資 』(扶桑社)より、2023年からの投資の鉄則について解説します。

進行するインフレの2大要因

投資の世界では、「大きな流れ」をしっかりと把握することが重要です。今、世界で何が起きているのか。そして、どういった方向に向かおうとしているのか。

 

それを見誤ってしまうと、5年後や10年後、あるいはそれ以上の年月が経過したときに、株式相場の本流から外れてしまうでしょう。反対に、大きな流れから支流を読み、その流れに沿った投資を行っていれば、資産運用において成功を収めることもできるでしょう。

 

では、世界では今、何が起きているのでしょうか。

 

まず、絶対に抑えておくべきなのが、「インフレ」です。現在は世界中でインフレが加速しています。米国では約40年ぶりの物価高となっていて、FRB(連邦準備制度理事会)がインフレを収めようと必死で利上げを行っている状態です。

 

このインフレは、①コロナ禍における各国の積極的な財政出動と金融緩和 ②ロシアとウクライナの戦争を背景とした資源・エネルギー価格の上昇が原因だと言われています。

 

①は、コロナ禍において大規模な財政出動と金融緩和によって需要が喚起され、リベンジ消費だけでなく、景気が急速に回復。需要が物価の上昇につながる「ディマンドプル型」のインフレが起きています。

 

また、世界中の政府・中央銀行がお金をジャブジャブ供給したことで、お金の価値が低下=物価上昇という構図もあります。

 

②は、ロシアとウクライナの戦争によってロシア産の原油や天然ガスの供給に問題が生じ、エネルギー価格が急上昇しました。

 

また、エネルギー価格だけでなく、たとえば半導体生産に必要なレアガスやレアメタルなどの原材料の一部はロシアやウクライナの依存度が高いものがあり、さまざまな価格が上がっています。

インフレ要因の1つ「グローカリゼーション」とは?

インフレの要因として主に言われているのがこの①と②ですが、私はこのほかに、インフレを招いている大きな要因があると考えています。その要因とは「グローカリゼーションの台頭」です。

 

現在、世界ではこれまで流行語のように使われてきた「グローバル化」(グローバリゼーション)が終焉を迎えつつあります。

 

そして、米国や中国、欧州では、それぞれの経済圏を確立し、その経済圏の中で「ローカリゼーション」(商品やサービスをその地域や国の言語、文化、慣習に合うように最適化すること)を進めようとする動きが出ています。

 

つまり、自分たちだけのグローバルな経済圏を作り、うまく商品やサービスが売れるような工夫(=ローカリゼーション)をしている最中ということです。今後、世界は「グローバリゼーション+ローカリゼーション=グローカリゼーション」の方向にどんどん進んでいくことになるでしょう。

次ページグローバル化は本当に終わった(完了)したのか?

※ 本連載は、河野眞一氏、長谷川建一氏の共著書『世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資』(扶桑社)から一部を抜粋し、再構成したものです

世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資

世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資

河野 眞一、長谷川建一

扶桑社

2022年10月、円相場は1ドル=150円を突破し、32年ぶりの円安水準を更新。 なぜ世界中で物価高が起きているのか? なぜ円安が止まらないのか? きたる物価高・円安・大増税時代には、円資産を持っているだけだと資産は熔…

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