63歳会社員と57歳パートの夫婦…「加給年金」の受取見込額に思わずニヤリ【CFPが解説】

63歳会社員と57歳パートの夫婦…「加給年金」の受取見込額に思わずニヤリ【CFPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生年金に20年以上加入し、かつ配偶者のいる人は、原則65歳から配偶者が65歳になるまで「加給年金」が受給できます。しかしなかには、老齢厚生年金は受給できても、加給年金は受給できないという人や、老齢厚生年金の受給資格はあっても老齢厚生年金・加給年金ともに受給できない人がいると、牧野FP事務所の牧野CFPはいいます。今回は加給年金について事例をもとに詳しくみていきましょう。

加給年金を受給できない「3つ」のケース

ここからは、加給年金が受給できない3つのケースをみていきます
※ 妻が夫より年上の場合は、夫→妻、妻→夫と読み換えてください。

 

1.厚生年金加入期間「20年」の壁

まず、以下のような場合、加給年金は受給できません。

 

・夫(加給年金を受給する人)が、20年以上厚生年金や共済年金(合算可能)に加入していない
・妻(配偶者)が、厚生年金か共済年金(合算含む)に、20年以上加入している

 

また、年金請求時に配偶者の年収が850万円以上の場合は、加給年金は支給されません。詳しくは最寄りの年金事務所で確認してください。

 

2.年金を「繰下げ受給」した場合

65歳からの厚生年金(老齢厚生年金)、国民年金(老齢基礎年金)は、同時にまた別々に繰下げ受給ができます。両年金とも、繰下げると1ヵ月ごとに0.7%増額した年金を受取れます。

 

しかし、加給年金の受給期間は、65歳から配偶者が65歳になるまでと規定されています。年金繰下げ待機期間(年金を受け取っていない期間)中に、この歳を過ぎると加給年金は受取れません。

 

Eさんの場合、加給年金は、令和4年度の受給額で計算すると、総額で233万3,400円受給できます(38万8,900円×6年間=233万3,400円)。

 

Eさんの年金受給を70歳まで繰下げると仮定すると、0.7%×60ヵ月(5年繰下げた月数)=42%で、70歳からは42%増加した年金を受給できます。

 

しかし、上記のとおり、厚生年金を5年間繰下げた場合、加給年金は65歳から70歳までは支給停止となり、70歳から1年間しか受給できないということになります。

 

そこで、次のような受給方法を考えることができます。

 

①国民年金・厚生年金ともに65歳から受給し、加給年金も受給する

②国民年金は70歳から42%増加した年金を受給し、厚生年金は65歳から加給年金とともに受給する

③国民年金・厚生年金ともに70歳から、42%増加した年金を受給する。加給年金は70歳から1年間受給する

 

ただし、繰下げて年金を受給するなら、その期間の家計をどうするかといった対策を検討すべきです。その際は、日本年金機構の「ねんきんネット」を使うとよいでしょう。自身の年金見込額をシミュレーションすることができます。

 

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