(画像はイメージです/PIXTA)

配偶者が亡くなったあと、義理の親族たちとの関係を解消したいと考える人も少なくありません。そのためには「姻族関係終了届」を提出します。ここでは、書き方や提出先を見ていきましょう。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

姻族関係終了届の書き方と提出先

生徒:夫が亡くなったとき、姓や戸籍を変えられることを知りました(『「夫亡きあと、旧姓に戻りたい…」具体的な手続きをどうすれば』参照)。では、夫の実家の家族との縁を切ることはできますか?

 

先生:亡くなった方の親族との関わりを断つには、「姻族関係終了届」を提出する必要があります。

 

生徒:姻族関係終了届とは何ですか?

 

先生:配偶者が亡くなっても、配偶者の血族との姻族関係は継続します。姻族関係終了届とは、夫婦の一方が亡くなった場合、生存する配偶者が死亡した配偶者の血族との姻族関係を終了させる届出です。姻族関係の終了を希望する場合は、必ず届出が必要です。姻族関係終了届を提出しても、姓や戸籍の変動はありません。同時に結婚する前の旧姓に戻そうとするなら、復氏届の届出も必要となります。

 

生徒:姻族関係終了届は、どこに提出すればいいのでしょうか?

 

先生:これも、本籍地かお住いの場所の市区町村役場に提出します。

 

生徒:いつまでに提出しなければいけませんか?

 

先生:期限は定められておらず、亡くなった方の死亡届が提出されたあとなら、いつでも出すことができます。

 

生徒:裁判所の許可はいるのでしょうか?

 

先生:いいえ、裁判所の許可はいりません。本人の意思だけで提出できますよ。

 

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姻族関係終了届は、どのように書けばいい?

生徒:自分の意思で縁を切ることができるのはいいですね。市区町村役場に出す姻族関係終了届の書き方を教えてください。

 

先生:まず、「姻族関係を終了させる人の氏名」の欄にあなたの氏名を記入してください。住所や本籍を記入し、「死亡した配偶者」の欄に亡くなった方の氏名、本籍、筆頭者の氏名を記入します。届出人の署名押印をして提出すれば、手続きは完了です。

 

生徒:姻族関係終了届を提出するときに必要な書類はありますか?

 

先生:記入した届、印鑑、戸籍謄本1通、運転免許証やマイナンバーカードといった身分を証明できるものの4つです。

姻族関係終了届の入手先とダウンロード方法

生徒:必要なもの4つメモしました。姻族関係終了届の用紙を手に入れたいのですが、どこでもらえますか?

 

生徒:お住いの場所の役場に用紙がおいてあります。Webサイトからダウンロードすることもできますよ。

姻族関係を終了させるメリット・デメリット

生徒:姻族関係終了届を出すだけで縁が切れるなんていいですね。

 

先生:そうですね。この手続きは「死後離婚」と呼ばれることがあります。でも、いいことばかりでもないんですよ。

 

生徒:えっ、デメリットもあるんですか? 精神的にはメリットの方が多そうですが…。

 

先生:まず、メリットから話しますね。姻族と助け合う義務がなくなるということです。夫が他界したあともご実家の人たちとお付き合いを続けるのは煩わしいですよね。この関係を断つことができることがメリットでしょうね。また、ご実家のお墓を管理する必要がなくなるということもメリットですね。これは、日頃から人間関係がよくなかった場合などには、かなり大きなメリットになるのではないでしょうか。

 

生徒:なるほど…。逆に、デメリットはなんですか?

 

先生:そうですね、なにかあっても結婚していた相手の家に頼れなくなるということがデメリットです。一度切ってしまうと、姻族関係を二度と復活させることはできません。また、夫のご実家の家族と顔を合わせるのが気まずくなるといったこともデメリットでしょうね。縁を切りたいと考えた場合でも、冷静になって、これらのデメリットがあることを理解しておくとよいですね。

 

生徒:なるほど。一切の縁を切ることになりますものね。

 

先生:そうです。よく考えてみることも大切ですよ。

 


[図表]婚姻関係終了届を出したあとの義家族との関係

 

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姻族関係終了届を提出後も、相続や遺族年金は影響なし

生徒:いろいろと考え、姻族関係終了届の提出を悩む方もいるのではないでしょうか。たとえば、相続や年金の問題です。相続財産や遺族年金がもらえなくなるのではと不安です。

 

先生:それは大丈夫ですよ。姻族関係終了届を提出しても、相続財産を取得することはできますし、遺族年金も受け取ることができます。

 

生徒:そうなんですね! お金についての心配はしなくていいんですね。

 

生徒:はい。その点は大丈夫です。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

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