(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人が、他人とのコミュニケーションに関して「自分から声をかけられない」「声が通らない」「人前で話すのが苦手」といった悩みを抱えています。本連載では、元アナウンサーでスピーチコンサルタントの阿部恵氏が、著書『1日1トレで「声」も「話し方」も感動的に良くなる』から、声や話し方を改善するための、誰でもできる簡単なトレーニングについて解説します。

伝えたい言葉の前に「間」をとる

同じ内容を話しているのに「伝わる人」と「伝わらない人」とがいます。自分ではしっかり話しているつもりなのに、伝わっていないとショックですよね。それにしても、話の内容が同じであっても、どうしてそんなことが起こるのでしょうか。

 

それは、「伝え方の違い」です。相手にどう伝えるかによって、伝わる人、伝わらない人が分かれてしまうのです。

 

話し方で、伝わる表現をするためには次の4つの要素が大切です。

 

1. 抑揚

2. 強調

3. 緩急

4. 間

 

 

「1. 抑揚」は、話すときに調子を上げたり下げたりするイントネーションのことです。この「抑揚」がないと、それだけで聞き手には伝わりにくくなります。

 

「2. 強調」は、一番伝えたいメッセージの部分を、強くゆっくり言うこと。

 

「3. 緩急」は、テンポよく話す箇所と、ゆっくり伝える箇所とで、メリハリをつけて話すことです。

 

「4. 間」は、話の転換点や、強調したい語句の前で、ちょっとしたタイミングをはかることです。

 

これらは、話にメリハリをつけるためのもので、このメリハリによって話を聞いている人は内容の大事なところを判断しています。

 

そして、この4つの表現方法の中で、特に伝わる・伝わらないに影響するのが「間」なのです。

 

「間」が一定だと、聞いているほうは単調に聞こえてしまいます。眠くなる人の話はたいてい同じリズムですし、棒読みの方もこのケースに該当します。

 

例えば、先日、駅前で演説をしていた方は、このような調子で話していました。

 

「必ず/、起きる/、災害に/、備えて/、私たちは/、準備を/、怠らない/、ように…」

 

すべての単語で「間」をとり、見事に一定のペースでした。

 

ゆっくり話すことを心がけているのは、よいことです。聞き手が理解しやすくなりますから。しかし、これだけ「間」の取り方が一定だと、「ぶつ切り」に聞こえてしまいます。

 

これでは、どこが一番伝えたいことなのか、かえってわからなくなってしまうのです。

 

相手に飽きさせることなく伝えるためには、さらりと話してよい箇所はテンポよく話し、強く訴えかけたい箇所ではゆっくり話すという、緩急を使います。さらに、「間」をとることが、とても大事なのです。

 

「間」を怖がらない

うまく伝わらないな、と感じているのであれば、「間」を活用するようにしてみてください。聞き手を惹きつけるカギとなります。

 

実は、私も新人アナウンサーの頃、この「間」をとることが怖くて、早口でベラベラとしゃべっていたことがあります。一刻も早く自分が話すべきセリフを終えたい一心でした。

 

自分が次に何を話すかで頭がいっぱいで、余裕がなかったのですね。

 

「立て板に水のようによどみなく話したい」と思われる方もいるかもしれません。しかし、「間」をまったくとらずに話し続けるのは、句読点のない文章のようなもので、印象に残りにくいのです。

次ページ「間」は話し手と聞き手のどちらにもメリットがある

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