部下と、目的と進捗を確実に共有できるステップ
「ちゃんと伝えたじゃないか」
「すみません。そういうことだと思っていませんでした」
上司と部下のやりとりの中で、こうしたすれ違いは多々あります。
テレビなどでもよく使われるくらい、世の中に多いケースだとも言えます。
この原因となる一番の理由、それは「部下自身が、何のための作業なのかを理解できていないこと」にあります。裏を返せば、「上司が部下に対してしっかりと全体像を理解させていない」とも言えます。
どんな仕事でも、なんらかの目的があります。会社はその目的をともに達成するための集まりなのです。大切なことは、何をおいても、まずその仕事の目的や全体像をしっかりと伝えるということです。
上司であるあなたが、部下に対して、その目的「何のためにやるのか」を、わかりやすく伝えることが必須テーマになります。
その順番を具体的に言うと、こうなります。
- 「目的」
- 「目標」
- 「現状」
- 「現状とのギャップ」
- 「ギャップを埋めるための戦略」
- 「ギャップを埋めるための戦術」
- 「日々のタスク」
このサイクルを常に共有して、「いま、どこに向かっているのか」を、はっきりクッキリ繰り返し伝えていく必要があるのです。
たとえば、あなたが新車開発の責任者だったとして、車の足まわり部分のタイヤやフレームをつくっている部署の人たちに、「こういう車をつくるんだ」という目的を伝えてから作業に取りかかってもらうのと、何も目的を告げずに作業に取りかかってもらうのとでは、前者のほうが断然生産性が高くなることは明白です。
イソップ寓話「三人のレンガ職人」に学ぶ
この全体像の話として、よく知られている話では、イソップ寓話「三人のレンガ職人」があります。
建物を建てている工事現場を通りかかったある人が、そこで作業をしている三人のレンガ職人に、「ここで一体、何をしてるんですか?」と尋たずねました。
いちばんやる気のなさそうに作業をしている一人目のレンガ職人は、こう答えました。
「何をしてるって、それは見ての通りレンガを積んでるんだ」
もうちょっとやる気のありそうな二人目のレンガ職人は、こう答えました。
「大きな壁をつくってるんだ」
いちばんイキイキと仕事をしている三人目のレンガ職人は、満面の笑顔で力強くこう答えました。
「よくぞ聞いてくれた。私は大聖堂をつくっているんだ。ここで多くの人が祝福を受けるんだ」
もうおわかりでしょうが、この三人のレンガ職人のうち、のちに大成功したのは、仕事に高い志と目的を持って取り組んでいた最後のレンガ職人なのだそうです。
あなたの部下は何人目の職人さんのように仕事をしていますか?
嶋村吉洋
実業家
投資家
映画プロデューサー