一人で留守番できるかな
退院してからも、病院でのリハビリは続けられることになった。理学療法と作業療法は終了で、言語聴覚訓練のために週に2回通院する。
逆に言うと、通院がない日はずっと家にいることになる。一方、私は毎日、仕事で出かけるので、オット一人で留守番だ。
いや、それは困るぞ。
この頃のオットは失語症のほかに「失行」という高次脳機能障害の症状も少し残っていて、モノの使い方がわからないことがあった。昼食用にレトルトカレーを準備して、ガスコンロは危ないから電子レンジを使って、と伝えると、はてどうするものかと電子レンジの前でたたずんでしまうのだ。ううむ。
平日の昼間、オットが安全に過ごせて、できれば言葉のリハビリもできる場所はないか。
ネット検索しても見つからない。
今思うと、介護保険制度を使ってデイサービスを利用するという手もあった。介護保険は65歳以上が対象だが、脳出血など特定疾病の人は40歳から利用できる。当時47歳のオットは、認定を受ければ通うことができたのだ。でも、その頃はそんな知識はなく、退院時に相談した病院のソーシャルワーカーからも申請をすすめられなかった。体に麻痺のない失語症なので、申請しても要介護・要支援になりづらいと判断されたのかもしれない。
また、これもあとで知ったことだが、言語聴覚士がいるデイサービスは非常に少ない。介護保険で探したとしても、オットのような「失語症だけが強く残った40代」が通える場所は、おそらく見つからなかっただろう。