亡くなった人の免許証の返納手続、どうすればいいの?
生徒:先生、亡くなった方の運転免許証はどうすれいいのですか?
先生:法律上返納義務はないので、返納しなかったからといってペナルティがあるわけではありません。しかし、免許証は身分証明書としても一般的に使用されているため、万が一盗難された場合に悪用されるリスクがあります。そのことから返納することが望ましいといえますね。
生徒:たしかに悪用されるのは嫌ですね。
先生:ちなみに、免許証の返納手続きと、免許証を手放すことは同じではないのですよ。
生徒:どういうことですか?
先生:遺族が希望すれば、免許証にパンチ穴を開けて無効とわかる状態にしたうえで、手元に残しておくことができます。免許証を手放したくないからといって返納手続きを控える必要はありません。
生徒:むしろきちんと返納手続きをして、悪用されないようにした免許証を残しておく方がいいですね。
先生:その通りです。
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「運転免許証返納届」の書き方と提出先
生徒:では、運転免許証の返納手続きはどこでおこなえばいいのでしょう?
先生:警察署か運転免許センターで手続きをおこなうことができます。
生徒:手続きに必要なものは何ですか?
先生:亡くなった方の免許証、免許証の持ち主が亡くなったことがわかる書類が必要です。死亡診断書や死亡後に取得した戸籍謄本の写しなどですね。あとは届け出る人の身分証明書と認印が必要になります。
生徒:そうなんですね!
先生:これらの必要書類を準備したうえで、運転免許証返納届に必要事項を記入します。様式に従って免許証の情報を記入し、返納の理由については「免許保有者の死亡のため」と記入すればよいでしょう。
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保有者亡きあとのクレジットカードの解約手続き
生徒:免許証と同様、クレジットカードも解約手続が必要ですか?
先生:そうですね。クレジットカードは、保有者が亡くなったときにカード会社との契約が終了となり、カード自体が無効となります。
生徒:何もしなくてもカードが使えなくなるのでしょうか?
先生:いいえ、遺族がカード会社に連絡をしない限り、カード会社は保有者が亡くなったという情報を把握できないため、カードは有効なままとなっています。
生徒:たしかに、連絡をしないと亡くなったことは伝わりませんよね。
先生:連絡を忘れて放置していると、年会費が引き落とされますし、万が一盗難にあった場合は、不正使用される可能性もあります。
生徒:逆に、遺族がそのままクレジットカードを使うことはできますか?
先生:いいえ、できませんよ。利用停止にならないからといって、遺族がそのままクレジットカードを使うことはカード規約違反となります。クレジットカードは亡くなった保有者に代わり、遺族が解約する必要があるのです。
生徒:そうなんですね。では、解約手続きはどのようにおこなうのでしょうか?
先生:クレジットカードの解約手続きは、電話だけで完了します。ですが、遺族が本人に代わって解約するため、死亡診断書か死亡後に取得した戸籍謄本の写しの送付を求められる場合があります。
生徒:クレジットカードの未払いがあった場合どうすればいいのでしょう?
先生:クレジットカードの未払いは「債務」として相続人に支払い義務が発生します。通常は、相続発生後に残額の一括支払いをカード会社から求められます。手続きが遅れると、カード会社によっては遅延損害金がかかってしまう場合もあるため、なるべく早く処理をすることが必要ですね。
クレジットカードの未払金は「債務控除」できる
生徒:未払いを精算するお金を支払うと、相続税の計算ではどんな扱いとなりますか?
先生:クレジットカードの未払い金を支払った場合、相続財産の総額から控除することが認められています。
生徒:相続税を減らす効果があるんですね。
先生:そうですよ。
生徒:クレジットカードにたまっているポイントやマイルも使えなくなりますか?
先生:その通りです。クレジットカードにたまっているポイントは相続できません。カード会社の規約で、契約者が死亡した場合はポイントを喪失する旨を規定しているためです。ただし、マイルについては一定期間内に手続きをおこなえば相続することができますよ。
岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士
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