2022年は、アメリカの急速な利上げが金融市場に大きな影響をおよぼしました。今後、利上げはいつまで続くのでしょうか。2023年やそれ以降の政策金利がどうなるのか、世界有数の資産運用会社、アライアンス・バーンスタイン株式会社のシニア・インベストメント・ストラテジスト、荒磯亘氏が予想・解説します。

長期的にはどんな展開が予想されるか

――では、今後長期的にどのような展開が予想されますか?

 

荒磯「今年のうちに注目すべきポイントがいくつかあります。わかれ道が存在するのです。図表5をみてください。

 

あ
[図表5]2023年に起こり得る2つのシナリオ 過去の実績や分析は、将来の成果などを示唆・保証するものではありません。
出所:AB

 

年内にも問題を解決しようというパターンがAです。これがわかれ道の1つ目です。『目先はいいが、あとが厳しい』とまとめていますが、これは景気が悪くなってきたら利下げするというシナリオです。

 

この場合、利下げは景気や金融市場を守るというメッセージですから、かなりグッドニュースになります。しかし、物価が十分下がっていないのに利下げをしたら、またインフレがぶり返すことを心配しなければなりません。これは実際に1970年代に経験した『失敗』です

 

したがって、『目先はいいが、あとが厳しい』ということになるのです。ただし、このシナリオは十分あり得ると思います。

 

一方で、アメリカの政策当局が本当にやりたいのは、Bのシナリオです。『目先が厳しいがあとでハッピー』とはどういうことかというと、物価が下がるまで利下げはせず、高金利をキープするという戦略です。

 

物価が下がってくれば、景気が落ち込んでいてもあとで景気対策をじっくりやればいいよ、こっちの問題を片付けてから景気に取り組もう、というシナリオです。

 

FRBはBのシナリオをやりたいというイメージをはっきり持っているので、経済環境がそれを許すかです。物価の動向と政策金利の動向の組み合わせがどうなるか、2023年はもちろん、さらに数年先までを大きく左右します」

 

――Bのほうが経済を軟着陸させられるというシナリオですね。

 

荒磯「そうですね。うまくそこまで持っていけるか、あるいは利下げしないで我慢できるかが最大の注目点です」

 

 

<<<【AB’s Market Tips】 #2 アメリカの利上げ、ここからどうみる?>>>

 

 

荒磯 亘 

運用戦略部/ポートフォリオ戦略室長

アライアンス・バーンスタイン株式会社

 

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【ご注意】
※本稿は、「【AB’s Market Tips】 #2 アメリカの利上げ、ここからどうみる?」を参考に、再編集したものです。詳細については当該動画をご覧ください。
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