相続税の納税義務者=財産を相続した個人
相続税を納めなければいけないのは「相続または遺贈によって財産をもらった人」、つまり、法定相続人でなくても、財産をもらったのであれば相続税を納めなければいけません。
ただし、遺贈によって、株式会社などの法人が財産を取得したときは、相続税ではなく、法人税が課されます。
また、相続や遺贈のタイミングで財産をもらっていなくても、被相続人から生前に贈与を受け、相続時精算課税制度を使って贈与税申告をしていた人も、相続税を納めなければいけません。
◆相続税の対象は住所によって変わる【国内外】
相続税を納税すべきかどうか判定するために必ず確認しておきたいのが「住所」です。相続や遺贈で財産を取得したときの住所によって、相続税がかかる財産の範囲が変わるからです。
相続人と被相続人の住所の両方を確認する必要があります。
原則は、住所が国内でも国外でも、すべての財産に相続税がかかります。しかし、被相続人と相続人の双方が相続開始前10年を超えて国内に住所がないようなケースでは、例外的に日本国内の財産にしか相続税はかかりません。
法律上の正確な表現でいうと、国内に住所がある場合、居住無制限納税義務者と居住制限納税義務者に分けられ、国内に住所がない場合、非居住無制限納税義務者と非居住制限納税義務者に分けられます。
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相続税がかかる財産の概要
相続税がかかる財産には、本来の「相続財産」と「みなし相続財産」があります。
◆被相続人が生前に所有していた財産
本来の相続財産は、被相続人が生前に所有していた財産で、お金に換算することができる価値のあるものです。
たとえば、土地・家屋・株式・預貯金・現金・貴金属・書画・自動車・金銭債権などです。
◆みなし財産
みなし相続財産とは、本来の相続財産ではないけれども、被相続人が亡くなったことを原因として取得する財産のことです。
たとえば、死亡保険金や、死亡退職金などがあります。
これらは、被相続人の財産ではないため、被相続人の勤務先や保険会社から直接に相続人へ支払われることになっています。
◆亡くなる3年以内の生前贈与
生前の贈与された財産のうち、相続財産に加算されるものがあります。
それが、相続開始前3年以内にもらった贈与財産と相続時精算課税制度によってもらった贈与財産です。
このとき加算する金額は、相続時の評価額ではなく、贈与時の評価額によって計算します。
もらった後に贈与財産の時価が上昇していても、関係ありません。
相続税の計算について、もらったときに贈与税を支払っていたのであれば、その金額は相続税から控除されます。
相続時精算課税制度の場合、2,500万円を超えた贈与財産については、贈与したときに20%の税率で贈与税が課されていますが、これについても当然に相続税から控除されます。
ただし、相続人であっても、相続財産を何も取得しなかった場合には、これらの贈与財産を加算する必要はありません。
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【納税義務者】非居住者や国外財産にも課税される!居住者と非居住者の納税義務をわかりやすく解説【FP3級】
まとめ
今回は、相続税の課税財産と納税義務者について解説いたしました。
国内に住所があれば、国内財産と国外財産のすべてに相続税がかかることを覚えておけばいいでしょう。
また、被相続人が持っていた相続財産だけでなく、持っていなかった財産、すなわち、みなし相続財産にも相続税がかかることも理解しておきましょう。
岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士
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