(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅取得資金・教育資金・結婚子育て資金の非課税制度については、毎年のように税制改正が行われ、非課税限度額や適用要件の改正が繰り返されています。最新の法令はどのようになっているのでしょうか。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

住宅取得資金:贈与税の配偶者控除

夫婦の間でマイホームやマイホーム購入資金の贈与があった場合、贈与税額を計算する際に、課税価格から基礎控除110万円に加えて、2,000万円まで控除することができる特例があります。

 

これを「贈与税の配偶者控除」といいます。

 

配偶者控除と基礎控除110万円を合計した2,110万円まで、贈与税がかかりません。

 

◆「配偶者控除」を受ける3要件 

 

この特例の適用を受けるためには、下記の3つの要件を満たしている必要があります。

 

①婚姻期聞が20年以上である配偶者からの贈与であること。

 

②居住用不動産の贈与またはそれを取得するためのお金の贈与であること。

 

③贈与を受けた年の翌年の申告期限である3月15日までにその不動産の居住を開始し、かつ、その後も引き続き居住する見込みであること。

 

◆配偶者控除の注意点 

 

この特例の適用を受ける場合、下記の3つの注意点があります。

 

①特例の適用を受けるには、贈与税額がゼロであっても、贈与税の申告書を提出しなければいけない。

 

②この特例は、同一の配偶者からの贈与について、1回だけしか適用することができない。

 

③特例を適用して居住用不動産の贈与を受けた後、3年以内に配偶者に相続が発生しても、特例を受けた部分は、生前贈与加算の対象とならず、相続税はかからない。

 

◆直系尊属から「住宅取得等資金の贈与」を受けた場合の贈与税の非課税制度 

 

住宅取得資金とは、自分が居住する住宅用の家屋の新築、取得または増改築に支払うためのお金をいいます。土地の購入は対象となりません。

 

2022年現在において、2023年12月31日までに、祖父母や父母から、18歳以上の子どもや孫が住宅取得資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たすときは、住宅取得資金のうち一定の金額が非課税となります。

 

この制度は、暦年課税制度と相続時精算課税制度のいずれの場合でも適用でき、暦年課税制度の基礎控除額や、相続時精算課税制度の特別控除額と併用することができます。

 

2023年12月31日までの非課税限度額は、住宅の種類によって異なり、耐震、省エネ・バリアフリーの家屋の場合は1,000万円、それ以外の家屋の場合は500万円です。

 

◆住宅取得資金による贈与税の非課税制度を適用する3つの条件 

 

この特例を適用するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

 

①受贈者が、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であり、国内に住所があり、贈与を受けた年の所得金額が2,000万円以下であること。

 

贈与者のほうに年齢制限はありません。

 

②家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ、床面積の2分の1以上が居住用であること。新耐震基準を満たしていること。

 

この制度の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅用家屋を取得し、原則として、その日までに居住を開始しなければなりません。

 

③贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、この制度の適用を受けるための必要書類を添付して、贈与税の申告書を提出すること。

 

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教育資金:直系尊属から一括贈与を受けた場合

「教育資金」とは、学校に直接支払われる入学金や授業料、塾に支払われる授業料で一定のもの、通学定期券代、留学渡航費などをいいます。

 

2022年現在において、2023年3月31日までの間に、祖父母やお父さん・お母さんから、30歳未満の子どもや孫が教育資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たすときは、教育資金のうち1,500万円が非課税となります。

 

実務的には、金融機関に受贈者名義の管理口座を開設し、受贈者は教育費の領収書をその金融機関に提出しなければ、お金を引き出すことができません。

 

非課税限度額は、受贈者1人につき1,500万円です。ただし、学校以外の塾への支払いについては、受贈者1人につき500万円となります。

 

なお、この制度の適用が終了するときには、課税されることになるため、注意が必要です。贈与者が死亡した場合、死亡前3年以内に入金された財産のうち、死亡時点の管理口座の残額に対して相続税が課されます。

 

また、受贈者が満30歳に達したときに授業を受けていない場合には、管理口座の残額に対して贈与税が課されます。

 

ただし、受贈者が死亡した場合には、贈与税は課されず、管理口座に残された残額が、受贈者の遺産の一部に含められることとなります。

 

★非課税になる贈与税の制度についてはこちらをチェック

【贈与税の非課税制度】住宅資金・結婚子育て資金・教育資金が非課税になる贈与税の制度とは【FP3級】

結婚子育て資金:直系尊属から一括贈与を受けた場合

結婚・子育て資金とは、結婚式、衣装、飲食代、引越し、出産、不妊治療などに支払われる費用をいいます。

 

◆結婚に際して支払う次のような金銭(300万円を限度) 

 

挙式費用/衣装代等の婚礼(結婚披露)費用(婚姻の日の1年前の日以後に支払われるもの)/家賃・敷金等の新居費用/転居費用(一定の期間内に支払われるもの)

 

◆妊娠、出産および育児に要する次のような金銭 

 

不妊治療・妊婦健診に要する費用/分べん費等・産後ケアに要する費用/子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)

 

2022年現在において、2023年3月31日までの間に、祖父母や両親から、20歳以上50歳未満の子どもや孫が結婚・子育て資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たすときは、結婚・子育て資金のうち一定の金額が非課税となります。

 

実務的には、金融機関に受贈者名義の管理口座を開設し、受贈者は結婚・子育て資金の支払いの領収書をその金融機関に提出しなければ、お金を引き出すことができません。

 

非課税限度額は、受贈者1人につき1,000万円です。

 

ただし、結婚資金の支払いについては、受贈者1人につき300万円となります。

 

◆結婚・子育て支援による贈与税の非課税制度を適用する条件 

 

この特例を適用するためには、受贈者が、20歳以上50歳未満であり、贈与を受けた年の前年分の所得金額が1,000万円以下であることです。贈与者のほうに年齢制限はありません。

 

なお、この制度の適用が終了するときには、課税されることになるため、注意が必要です。

 

贈与者が死亡した場合、死亡時点の管理口座の残額に対して相続税が課されます。

 

また、受贈者が満50歳に達した場合には、管理口座の残額に対して贈与税が課されます。

 

ただし、受贈者が死亡した場合には、管理口座に残された残額に対して贈与税が課されます。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

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【家庭科/資産形成】金融トラブルを避ける3つの鉄則【第8話】

 

 

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