経産省・厚労省・文科省、3省揃って警鐘を鳴らす…日本のGDPの約2割を占める「製造業」の危機

経産省・厚労省・文科省、3省揃って警鐘を鳴らす…日本のGDPの約2割を占める「製造業」の危機
(※写真はイメージです/PIXTA)

経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省が、毎年共同で作成している「ものづくり白書」。日本の製造業における企業やその技術の動向についてとりまとめています。みていきましょう。

製造業の課題への対応…「インダストリー4.0」とは?

製造業の課題への対応が期待されるのが、インダストリー4.0(第4次産業革命)です。総務省の発表には「水力・蒸気機関を活用した機械製造設備が導入された第1次産業革命、石油と電力を活用した大量生産が始まった第2次産業革命、IT技術を活用し出した第3次産業革命に続く歴史的な変化として位置づけられている」 とあります。

 

インダストリー4.0によってIT技術を駆使しスマート工場化すると、人間、機械、その他の資源を通信網で結び、どこで生産され、それがどこに届いたかの把握が可能です。これらのしくみの整備が進めば、既存の製造プロセスやバリューチェーンの変革、新たなビジネスモデルの構築も加速。このインダストリー4.0の中軸を担う技術がIoTとAIです。

 

インダストリー4.0の中軸1:IoT

・インターネットを介して離れているモノを制御する「遠隔制御」
・インターネットを介して離れているモノを監視する「遠隔監視」
・インターネットを介して離れているモノどうしを通信する「データ送受信」

 

これらの技術の導入が製造業にもたらすメリットは「リモートで機器の状態を確認」「異常があれば停止等の制御」「機器どうしから得られるデータの送受信」です。

 

インダストリー4.0の中軸2:AIの活用

AIは日々進化を遂げ、いまのAIの特徴は「学習」と言われています。その真価は、ロボットやIoTなどと組み合わさったときに発揮され、たとえばロボット分野なら自動で配膳するロボットやペットロボットなど、日常的に我々が触れる機会も増えました。

 

では製造業でのAIの活用はどのようなものでしょうか。先に触れたIoTとの併用により、製造業の現場では次のような活用が進むと考えられています。

 

■生産管理の自動化

これまで人の目でチェックしないとできなかった作業をAIが覚え、それをIo Tが組み込まれた機器が管理していくという世界へと変容しています。

 

■機器の状態を自動検知

専門のメンテナンス業者が定期的に行っていた業務を機械が自ら検知し、異常があったら知らせることが可能となります。

 

■映像解析による接近アラーム発報

AIとカメラ(映像)が組み合わさった技術です。危険を伴う現場では、従来は工場内で立ち入り禁止のエリアを設定したり警報を出したりして作業者の安全を担保してきましたが、この技術を使えば危険エリアに踏み込みそうな人が映像に映った瞬間に自動で警告アラームが発せられます。

 

■作業員の動線を最適化

映像やIoTを組み合わせた技術で、歩留まりが発生している生産エリアや従業員の動線にロスが目立つエリアを特定し、それを最適化することで作業効率を上げます。

 

■搬送の自動運行による作業最適化

工場内で搬送車を自動運転することにより、工場間で製造物を運んだり工場内での物品の搬送を行ったりが、自動でできるようになります。たとえばAmazon の工場では、物品の棚をロボットで移動することで作業の最適化を図っています。

 

このように、AIやIoTの技術を利用すれば人員不足解消や技術の継承をサポートできます。人が介在しなくても工場がまわるしくみをつくるのが、製造業におけるDXの基本です。

 

 

日淺 光博

DXコンサルタント

株式会社日淺 代表取締役社長

 

※本連載は、日淺光博氏の著書『難しい話はもういいんでDXがうまくいく方法だけ教えてください』(サンマーク出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

難しい話はもういいんで DXがうまくいく方法だけ教えてください

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日淺 光博

サンマーク出版

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