(※写真はイメージです/PIXTA)

「顧問税理士を変更すると、税務調査に選ばれやすい」という噂は本当なのでしょうか? 税務調査を専門とする税理士法人松本が解説します。

顧問税理士を変更すると税務調査に選ばれやすくなる!?

「税理士を変更すると税務調査になりやすい」「税理士を変えた腹いせに税務署へ密告された」といった噂を耳にすることがありますが、こうしたことは本当に起こることなのでしょうか。

 

ここでは、税務調査が入りやすい時期や税理士の変更、密告などによって税務調査が始まる可能性などについて解説しています。税理士を変えていなくても注意するべき税務調査のポイントについても説明していますので、これから税務調査を受ける方は参考にしてください。

結論:税理士の変更だけで税務調査にはならない

結論から言うと、顧問の税理士を変更したという事実だけで税務調査の対象となることはありません。

 

「でも、実際に税理士を変更した直後に税務調査が入ったという話を聞いた」という場合、以下の理由が考えられるでしょう。

 

■税理士の変更と税務調査がたまたま同時期になった

税務調査は、少なくとも過去3年、最大で7年まで遡って申告内容を調査するため、通常会社を設立して間もない頃に税務調査がやって来ることは滅多にありません。

 

起業して数年以上が経過しており、これまでに税務調査を受けたことがない場合、たまたま税理士を変更したタイミングで税務調査がやって来ることがあります。その際に「税理士を変更したから税務調査が入ったのだ」と勘違いしてしまう可能性があるのです。

 

■税理士の変更により、会計処理に大きな変更が発生した

税理士を変更した事実だけで税務調査の対象とはなりませんが、税理士の変更によって、例年の会計処理に大幅な変更が加わった場合には、そのことが原因で税務調査が入る可能性はあります。

 

経費を大幅に増やしたり、計上する科目をガラッと変える、といった変更を加えたりすると、例年の申告内容に比べて帳簿上の金額が大きく変動することとなります。そのため、例年よりも金額に変動が見られる原因について確認する意味で調査対象とされる可能性が高まるのです。

 

逆に言えば、税理士を変更しなくても、会計処理の方法を大きく変更すれば税務調査が入りやすくなるとも言えます。

 

会計処理方法を変えたり、または税務調査と税理士変更のタイミングが重なったりすることがなければ、税理士を変更しただけで税務調査がやって来ることはないのです。

税理士が税務署へ密告する可能性はある?

「税理士を変更して、以前の税理士が腹いせに税務署へ何か密告したらどうしよう」と思ったとしても、心配する必要はありません。その理由として税理士には守秘義務があり、顧客の情報を外部へ漏らすことは法律(税理士法)で禁じられているからです。

 

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(秘密を守る義務)

第三十八条 税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなった後においても、また同様とする。

 

(税理士の使用人等の秘密を守る義務)

第五十四条 税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者でなくなった後においても、また同様とする。

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また、仮に税理士が帳簿上で違法な操作に加担していたとしても、その事実が明るみとなれば、その責任は税理士が負うこととなります。税理士を変えたという理由だけで、わざわざ税理士自身が処罰の対象となるような密告をするとは考えにくいと言えるでしょう。

税理士を変えていなくても…税務調査の要注意ポイント

税理士の変更や密告などによって税務調査の対象となることはなくても、税務調査は一定の時期が来れば入りやすくなります。

 

税務調査の対象となりやすい条件やタイミングについて、以下のようなケースで税務調査が入った場合は注意が必要です。

 

■短期間に何度も税務調査が入る

通常、一度税務調査が入った場合、そこから数年間は調査対象とはならず、2度目の税務調査までは間隔があくのが一般的です。

 

しかし、1年おきや毎年など、短期間の間に何度も税務調査が入るような場合には、税務署からマークされている可能性があります。

 

税務署がマークする理由の一部に、

 

●申告内容に疑わしい点がある

●会計ルールが毎年変わっているように見える

●単純な計算ミスや申告漏れが多い

 

などが挙げられます。依頼している税理士がいるにも関わらずこのような状況になっているなら、早急に税理士を変更した方がよいでしょう。

 

■そもそも税理士を入れていない

税理士へ一度も依頼したことがなく、自力で確定申告を行っている場合、過去の申告内容にミスや漏れがあったとしても、税務調査で発覚するまで気づかないケースがほとんどです。

 

税務調査で指摘されてから修正申告となった場合、延滞税や無申告加算税といった追徴課税の対象となり、多額の納税義務が生じる可能性があるのです。

 

不安な場合は、一度目の税務調査が入る前の時点で、一度税理士事務所の無料相談などを利用してみることをおすすめします。

 

■税理士は変えていないが、会計の処理方法を大きく変更した

そもそも税理士へ依頼をしたことがないケースも含めて、会計の処理方法を例年から大きく変更した場合には、税務調査で確認される可能性が高いため注意が必要です。

 

「節税対策を取りたいから会計のルールを変えたい」「取引が複雑になって来たので、弁護士を入れてしっかりと申告をしたい」といった希望がある場合は、税務調査対応の実績が豊富な税理士事務所へ相談してみるとよいでしょう。

 

科目の変更や会計処理の方法を変えた場合、違法であれば脱税となりますが、合法であれば節税とみなされ、処罰されることはありません。

 

その辺りの対応や交渉も含めて、税務調査対応に強い税理士へ依頼することで、節税対策も取りつつ税務調査へ備えることができるでしょう。

まとめ

税理士を変更しただけで税務調査が入りやすくなるということはなく、また守秘義務のある税理士の密告によって税務調査が入るという可能性も考えにくいものです。

 

しかし、税務調査を長年受けたことがない場合や、税理士の変更で会計処理を大きく変えたような場合には、税理士を変更したタイミングで税務調査が入ったように勘違いするケースも考えられます。

 

税理士を変えなくても、税務調査が入る条件に該当していれば、調査となる可能性が高まります。適正な申告ができているかをチェックして、一度目の調査が入る前に税務調査対応に強い税理士事務所へ相談するなどして、来るべき税務調査に備えましょう。

 

 

税理士法人松本

税務調査特化税理士法人として全国5ヵ所(渋谷、亀戸、新宿、横浜、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。
国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。
税務調査相談実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。

※本記事は、税理士法人松本のブログより転載したものです。

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