(※画像はイメージです/PIXTA)

中小企業経営者や個人事業主の方にとって、税金は資金繰りと相まって頭の痛い問題です。特に、年度末が近づくにつれ、「税金対策」「決算対策」をどうするかが問題となります。そんなとき、帳簿上の計算処理だけで税金を抑えられる方法がいくつかあります。本記事ではそのうちの一つ、税負担の軽減および資金繰りの改善につながる「貸倒損失」の計上について、わかりやすく解説します。

貸倒損失とは?

貸倒損失とは、焦げ付いて回収できなくなった債権がある場合に、その額を損失として計上できるというものです。

 

当該年度の利益から差し引くことができるので、その分、税金の負担が抑えられます。

 

貸倒損失の計上が認められるのは以下の3つのパターンです(国税庁HP「タックスアンサーNo.5320 貸倒損失として処理できる場合」参照)。

 

【パターン1|法律上の貸倒れ】

・債務者が破産して債権の全額または一部の回収が「法的に不可能」になった

 

【パターン2|事実上の貸倒れ】

・債務者の資産状況・支払い能力が悪化して債権の全額または一部の回収が「事実上不可能」になった(担保がある場合を除く)

 

【パターン3|形式上の貸倒れ】

・債務者の資産状況・支払い能力の悪化を原因として取引自体を停止した状態のまま、回収の見込みがない

 

これらの場合、債権自体はプラスの財産(積極財産)として存在します。しかし、何らかの事情により回収が不可能となっています。したがって、「積極財産」が失われ、マイナス(損失)が発生しているととらえるのです。

 

それぞれの内容について、もう少し詳しく説明します。

 

パターン1|法律上の貸倒れ

まず、債務者が破産して債権の全額または一部の回収が法的に不可能になる「法律上の貸倒れ」は以下のようなケースです。

 

(1)会社更生法、会社法、民事再生法等の規定によって債権が切り捨てられた

 

(2)債権者集会、行政機関・金融機関のあっせんによる協議において、合理的な基準にしたがって債権が切り捨てられた

 

(3)債務者が債務超過に陥り金銭債権の支払いを受けられる見込みがないので、やむをえず書面によって「債務免除」を行った

 

いずれも、法律の規定や契約等の法的な根拠をもって債権が切り捨てられたケースです。

 

特に要注意なのが、債権者の一方的な意思表示で行える(3)です。単なる「債務免除」では認められません。債務免除に至るまでに、債務超過の状態が「相当期間」継続したことが要求されています。すなわち、もうどうあがいても回収不能な状態になって、不本意ながら、やむにやまれず「債務免除」をしてあげたということが必要なのです。

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